出版社内容情報
牛を解体し、箕作りに携わった「白丁」。差別は今も続くのか。その跡を追った著者の処女作、待望の文庫化。
上原 善広[ウエハラ ヨシヒロ]
著・文・その他
内容説明
白丁とは、朝鮮半島に存在した被差別民をいう。牛の屠畜・解体を業とし、柳細工なども営んだ。かつては厳しい賎視をうけたが、朝鮮戦争などによってその集落は失われた。その後、多くの末裔は牛肉を扱う仕事につく。被差別問題に関わる著者が、表面的には今はないと言われる彼らの現在の差別状況が、実際どういうものなのかをつぶさに取材した、入魂の第一ノンフィクション。
目次
第1章 現代の白丁
第2章 白丁と結婚する馬鹿はいない
第3章 白丁とは何か
第4章 韓国の屠場を歩く
第5章 最後の白丁
旅を終えて
韓国再訪二〇一四―新装版のためのあとがき
著者等紹介
上原善広[ウエハラヨシヒロ]
1973年、大阪府生まれ。大阪体育大学卒業。2010年、『日本の路地を旅する』で第41回大宅壮一ノンフィクション賞、『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐倉
25
韓国において屠殺に関わっていた被差別民・白丁。自身も同和地区出身だった著者は差別の実情を知るため、各地の痕跡を辿ろうとするが⋯「過去はそういう差別はあったが今はない」「しかし子供が白丁と結婚するとしたら反対する」「過去のことを掘り返すべきではない」⋯行く先々で矛盾した証言をされ時に罵倒されながら不可視化されつつも存在する差別の残滓を記録しようとする執念に圧される。「制度的には残っていないが、心のなかには残っている幽霊のようなもの」という白丁問題を追う作家鄭棟柱の見解が含蓄深い。2026/03/20
まると
9
口を閉ざす現地民の本音を聞き出そうと、体当たり取材する様子をハラハラしながら読んだ。上原さん自身が言っているように、取材テーマはマニアックだが、「寝た子を起こすな」的に覆い隠してきた韓国と、解放運動を展開してきた日本との違いから、差別撤廃へのアプローチの良しあしを探るという大命題を提示しており、考えさせられた。結局それぞれに長所と短所があったわけだが、最後に著者は「貴あれば賤あり」という言葉を思い出し、王朝が消滅した朝鮮と天皇制が残る日本との違いに行き着く。仮定的な直感とはいえ、興味をそそる視点だ。2019/03/09
yuzyuz_k
8
何かと難しい日韓関係。 韓国に思い入れがあるわけではないのですが、被差別部落の問題を通して見えてくるいろんな違いも興味ぶかいです。 本題、それ以外の部分においても、いろんな事を考えられると思います。 私の今の気持ちは、 "面倒くさいな韓国人" です。2019/06/09
シュークリーム・ヤンキー
6
大変興味深いテーマだった。特に、日本の部落史との対比という視点が面白い。それにしても一向に真実に近づけない中、さまざまな人に疎まれ怒鳴られながら、ひとり異国の地で粘り強く取材活動を続けた上原さんの功績は、もっと評価されるべきだと思う。終盤の考察の根拠の薄さが気になったが、この本の価値はむしろ、筆者がここまで長期に渡って、このニッチな(韓国国内でも注目されない)テーマを執念深く追い続けた…ということにある気がする。2019/05/14
芋煮うどん
4
あとがきに本人も書いているが、若さゆえの突っ走り感が強い。2019/08/05




