出版社内容情報
富士、三陸海岸、琵琶湖、瀬戸内海、水俣、南鳥島……池澤夏樹が風光明媚な列島の名所を歩きながら思索した「日本」のかたちとは。
池澤 夏樹[イケザワ ナツキ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
「ナショナルジオグラフィック」と「旅」という雑誌に連載されていたものをまとめたものです。このような本を読むとまだまだ日本では訪れていないところが数多くあるし、あるいは再度行ってみたいという気にさせてくれる文章です。特に第二部は島が多く掲載されていて日本の秘境というところもあったりで行きたくなりました。特に北海道の「雨竜沼」という場所はいいですね。日本ではないような印象を受けました。2023/09/07
chantal(シャンタール)
81
総距離2千数百キロ、亜寒帯も亜熱帯もある日本は決して小さな国ではない。池澤さんはその日本の隅々を歩き、山や川、地理や生態系について詩的に描き出す。大山が出来たのは一万年前、二億年前に出来た北上山地等とは比べ物にならないほど若い。一番好きだったのは乗鞍岳山頂の宇宙線観測所の話。目に見えない宇宙線が朝陽を浴びて光り輝きながら降って来る様を想像するだけで目頭が熱くなる。池澤さんの自然に対する畏敬の念、私達は何と美しい島に暮らしていることか。この美しい国土をこれからも美しいままに伝えて行く事が出来るのだろうか?2020/12/28
風太郎
9
旅行記です。主に日本列島の豊かな自然が描かれていて、日本の自然もまだまだ捨てたもんじゃない思わされます。多くの知識量、丁寧な観察、訪れた地域への同化が、読む人の心を圧倒します。自分の普段している旅行は、観光地として整備されてしまったところ、歴史的建造物などが多く、なにか与えられた旅行という感じを受けてしまいます。もう少し著者の方のそれのように、自らつかみ取るような旅行もしてみたいに思いました。2019/03/03
ホースケ
6
ああ、こんなにも日本は美しい土地だったのかと再確認させられる。富士山から始まり、さくら列島、琵琶湖..と、歴史やそれにまつわる文学、科学と様々な角度から、その場所の魅力を引き出している。美しさと同時に語られるのは、自然に対する畏怖の念だ。どんなに文明が進化しようとも、その営みからは謙虚な気持ちを忘れてはならないことを改めて学ぶ。南鳥島や離島など容易には行けない場所はともかく、この本を携えて未知既知の場所を問わず旅をしてみたくなる。「日本列島で最も豪奢な風景劇場」富士山を間近で眺められることに幸せを感じた。2023/12/22
エビスヤ商店。
6
池澤さんの文章が好き。専門的で難しい内容でちんぷんかんぷんな箇所もあったりするが(勉強不足ですみません(´;ω;`))文体がとにかく落ち着くのだ。難しくも易しくも書ける、池澤さんは本当の知識人だと思うのである。2020/04/11
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- 和書
- 山口昌男山脈 〈第1号〉