出版社内容情報
名作ドラマの数々を世に届けた脚本家は現在の日本で何を見、何を思うのか。心に沁みる最新エッセイ集。語り下ろしインタビュー付。
山田 太一[ヤマダ タイチ]
著・文・その他
内容説明
小さな本当、小さな矛盾、小さな誤解、小さな深淵、小さな善意、小さな夢、小さな物語は、まだ日本では書く余地があると思うから、急いで未来に適応しないで、アナクロニズムを生きてきた…テレビドラマ史に輝く名作の数々を世に送り出してきた脚本家が、声をひそめて語った本音。語り下ろしインタビューを巻末に収録。
目次
1(脱・幸福論;数秒の笑顔 ほか)
2(音楽会の記憶―日比谷公会堂;学生服の美意識 ほか)
3(小津の戦争;渋谷恋文横丁 ほか)
4(作家をめぐる本―チェーホフ、カフカのことなど;回想を失ったら、すべてを失う―アリステア・マクラウド『灰色の輝ける贈り物』 ほか)
巻末特別インタビュー
著者等紹介
山田太一[ヤマダタイチ]
1934年、東京浅草生まれ。早稲田大学卒業後、松竹大船撮影所入社。演出部で木下惠介監督の助監督に。65年、脚本家として独立。数多くの名作テレビドラマを手がける。88年、長編小説『異人たちとの夏』で第1回山本周五郎賞、2014年、エッセイ集『月日の残像』で第13回小林秀雄賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
26
逝去された山田太一さんの雑文集。雑誌や週刊誌掲載のエッセイも良いが、書評の方が心に残る。読んだことがある本もあるので、「そうだよなぁ」とつい頷いてしまう。ジュンパ・ラヒリ、渡辺一史、ベルンハルト・シュリンク、中野翠‥‥。驚きは、文豪、山本周五郎について綴った「三つほどのこと」。第1回山本周五郎賞の受賞者ながら、受賞が決まるまで一度も読んだことがなかった、など初見のエピソードが並ぶ。巻末のインタビューで、山田さんはこう問いかける。「時代がどんどん進歩していくのはすごく変だと思いませんか?」至極共感する。2024/11/07
ひなきち
25
大好きな山田太一氏の、随筆集。繊細で複雑な人間心理を描かれる脚本家だけあって、同じ「とき」を過ごす日々のなかで、思いもよらない視点に、思わずハッとなる。改めて得難い人物であり、日本の宝のような存在であると実感した。身体をご自愛しながら、穏やかな老後を過ごして頂きたいです。2018/05/17
団塊シニア
12
「新春の願い」のなかで戦争について言及してる、小沢昭一氏のインタビュー記事、戦争の悲惨さ、戦争を外交で逃げ切ることを政治家に望む姿勢、心から共感する内容である。2023/11/18
えいとうっど
2
極めて個人的なお気に入り度合い:★★★★☆4点 50代の私も会社組織の中では相当にアナクロニズムを生きているが、山田さんのように『老いの実存』を見つめるまでには至らない…。2019/12/09
青色
2
なんか表紙とタイトルに惹かれて読んだ。ご飯を記録してる話が好き。2018/04/27