出版社内容情報
季節のうつろい、子ども時代の思い出、牧場の暮らし…日々のできごとを活き活きと綴る初の生活随筆集、待望の文庫化。解説=小林聡美
内容説明
日本の児童文学に大きな実りをもたらした作家・翻訳家が、ひとりの女性として、生活実感をともなったことばで日常の小さな体験を生き生きと綴った生活随筆集。季節のうつりかわり、子ども時代の豊かな時間、戦後すぐの東北での開墾生活、一緒に暮らした犬やねこのことなど、誠実でユーモラス、シンプルな生命力にあふれた55篇。
目次
雪のなかのお餅つき
愛情の重さ
都会といなか
花どろぼう
知らない友だち
波長
ピンクの服
また猫のこと
宮様の手
小さな丸まげ〔ほか〕
著者等紹介
石井桃子[イシイモモコ]
1907年、埼玉県浦和に生まれる。28年、日本女子大学校英文学部卒業後、出版に従事。戦後、宮城県鴬沢で農業・酪農を始める。その後、編集者、翻訳家、児童文学作家として活躍。58年、自宅の一室に子どもの図書室「かつら文庫」を開く(のちに公益財団法人東京子ども図書館へ発展)。2008年、101歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
91
1907年生まれ。明治からの4つの時代を生き、2008年101才で逝去。それだけで今の日本とは違う暮らしがあったはずと容易に想像できます。でも、エッセイの内容は、その想像とはかなり違うものでした。大変な時代、大変な環境の中でも、明るく前向きでいられたのは、幼い頃のきちんとした暮らしが土台にあったからでしょうか。日常や周りにある自然、友人やいっしょにいた猫と犬への思いが、温かく、素朴だけど童話のような色合いで、ときにユーモラスに描かれています。一人の暮らし、一人の時間に大切なことを感じ、考えることができる→2018/12/21
佐島楓
63
やわらかい文章のなかに、しなやかなつよさを感じた。終戦後、どんどん西洋化していく日本を見つめるまなざし。この視点は失われていくものではあるが、だからこそ残していく意味がある。私の一部を作ってくださったかたとして、尊敬の念しか抱けない。2018/03/23
ぶんこ
55
石井桃子さんが明治生まれで101歳までご存命だったことに驚きました。また8人兄弟の下から2番目。ご実家はこの時代としては恵まれていたようにも思えますが、母親が地道に働き続ける方で、桃子さんのエッセイを読んでいると体を使って働くことを厭わない誠実なお人柄が伝わってきました。犬とねこも、特に好きというわけではなく、犬は好きだと勘違いされた方から譲られた大型のコリー、ねこは庭にボロボロの傷だらけの状態で現れたのを保護したから。何事においても自分の波長に沿っての生活をしてこられたのには感服しました。2022/03/16
ちえ
34
終戦直前から東北で仲間農業を始めたりとすごく色々な経験がユーモアと優しさを感じる文章で語られていた。確認すると私が子供時代好きだった絵本のなかに沢山の石井桃子さんの本があって、こんな経験から生まれて来たものなんだなあとしみじみ感じる。うまく言葉に出来ないことがもどかしいのだけど、心の中に丸くて温かい何かが貰えた、そんな感じがした。改めて石井さんの絵本を手に取りたい😌最初の「雪のなかのお餅つき」そのときの光景と高揚した気持ち目に浮かぶ、最後の方のエッセイ、石井さんの物事に対する鋭さにドキッとした。2019/01/25
mntmt
23
石井桃子さんの本や絵本、翻訳された作品を読んだことはあったけど、エッセイは初めて読みました。芯の強い、優しいお人柄が伝わって来ました。2018/03/02