出版社内容情報
映画スター・北岡早馬と再婚し幸せの絶頂の伊都子だが、家族は未だ死んだ先妻にとらわれていた。そして遂に殺人が…。解説=恩田陸。
内容説明
映画界のスター・北岡早馬と再婚し、幸せの絶頂にいた伊津子だったが、北岡家の面々は数ヶ月前謎の死を遂げた先妻・貴緒のことが忘れられず、屋敷にも彼女の存在がいまだに色濃く残っていた。そんなある夜、伊津子を歓迎する宴の最中に悲劇が起こる。そして新たな死体が…。傑作ミステリ遂に復刊!
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933年東京生まれ。家業の紋章上絵師の仕事をしながら推理小説を書き、76年、「DL2号機事件」が第1回幻影城新人賞佳作入選。78年、『乱れからくり』で日本推理作家協会賞受賞。90年、『蔭桔梗』で直木賞受賞。また、マジシャンとしても著名で、創作奇術で石田天海賞受賞。本名の厚川昌男名義でのマジック関連著作なども多数。2009年2月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
65
地位のある男性に嫁いだ若い女性。新婚にも関わらず、そこかしこに見え隠れする先妻の影。というストーリーから連想するのはやはり『レベッカ』なのであるが、本作はそれを本歌取りした作品…らしい。らしいというのは自分が『レベッカ』未読で、知っている事といえばその冒頭部分くらいなので。それを下敷きにしているこの本も十全に楽しめたとは言い難い。ミステリとしてはやはり面白いし、言葉の矛盾を捉えていく部分など他のミステリに対して劣る所はないはずなんだけど。やはり解説等を読むと先に『レベッカ』読んでおいた方が良かったなあ。2018/10/19
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
40
今では中々お目にかかれない、クラシカルなミステリーを堪能できます。ちょっと、昔のレディコミ風でもあるかな(笑)。 『レベッカ』を知っていても、知らなくても、それなりに驚けますよ~☆ 2018/02/06
かめりあうさぎ
38
美しいミステリ。面白かったです。最初からピンっと張りつめた緊張感が漂い、それがとても心地好い。ノンシリーズなので最後まで探偵役が分からないパターン。後半に何となく犯人の目星はついたんだけど、解決編での伏線回収は華麗で気持ちが良かったです。河出文庫の三作連続復刊の第一弾なので、第二、第三弾も近々読みたいです。2018/03/15
geshi
37
こういった仕掛けが蔓延した現代ミステリに慣れている身からするとサプライズのインパクトは弱いか。しかしロマンスとサスペンスの巧みなストーリーテリングがシンプルなものに気づかせない。幸せなはずの花嫁の日々に色濃く差す過去の影が不穏な気持ちを掻き立て、テレビ業界の虚と実が登場人物たちの裏の顔を想像させる。解明のシーンで伏線一つ一つに「確かに書かれていたのに気づかなかった!」とやられた感が次々に襲い掛かる。特に言葉のダブルミーニングの上手さに舌を巻いた。2018/01/12
hideko
33
久々の泡坂妻夫さん。河出より復刊。 映画界の大スター・早馬と再婚した伊津子。 不慮の事故で亡くなった先妻・貴緖は美人で家柄も良く周りの人間は崇拝していた。早馬も未練が残るようで伊津子には先妻の話題は一切避ける。 しかし、貴緖の死は謎が残るものであった。 解説に恩田陸さんも語ってある通り先入観無しに読んだほうが良いと思う。 さすがです。2018/01/14