出版社内容情報
リストラ間近の中年男、駆け出し脚本家、離婚目前の主婦、本命になれないOL――ちょっと不器用な人たちが起こす小さな奇跡の物語。
秦 建日子[ハタ タケヒコ]
著・文・その他
内容説明
リストラ直前の中年男、駆け出しのシナリオライター、離婚目前のキャリアウーマン、本命になれない30歳のOL―。一生懸命生きているけど、ちょっと不器用な人たちに起こる、小さな奇跡が連鎖して…感動の連作小説。
著者等紹介
秦建日子[ハタタケヒコ]
小説家・脚本家・演出家。1968年生まれ。97年より専業の作家活動。2004年、『推理小説』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
146
読みやすい連作短編集。脚本家の方が執筆されたので、分かりやすいということがあるかも知れない。様々な日常を不器用に生きる人々。読者は彼等に自身を重ねる。作者のメッセージ、人生は間違えられるから素晴らしい、何が起きるか最後まで分からないに共感するのだ。実際、私の人生も間違いばかりだし、間違えない人などいないだろう。それでも生きていく。それにこの先悪いことばかりでも、良いことばかりでもないだろう。読みやすいだけに、メッセージが読者によく伝わる作品だと思う。シンプルで読みやすく当たり前の事に気づかせてくれる作品。2018/04/29
びす男
91
ニューカレドニアという島が、5つの短編の鍵を握っている。表題はその島の気候を表している■別々に見える物語が、読み進めると関連し合っている。仕事以外が似合わない男性、仕事をつかみ損ねたシナリオ作家、婚約相手と別れた女性…。共通しているのは、どの主人公も何かに失敗している点だ■物語は彼らの失敗から始まるが、ハッピーエンドに収まる。激しい雨の後に、からりと晴れる空のように■「人生は、間違えられるからこそ素晴らしいんだ」。表紙の絵ような景色が見られるなら、雨が降るのも悪くない。そう思わせてくれる一冊だった。2017/11/10
とろこ
81
連作短編集。どの話でも、登場人物は一所懸命に生きている。ただ、皆、少し不器用だ。それ故に、周囲から浮いてしまったり、恋に行き詰まったり、人生に疑問を持ったりしてしまう。だが、人との出逢いや再会、新しいことへの挑戦などを通して折り合いをつけてゆく。さらりと読みやすく、2話目の「犯人は、ニューカレドニア」では笑ってしまった。人生、思い通りにゆかないことも多いけれど、時には、一歩前へ踏み出す勇気が必要なのかもしれない。雨も、常にザーッと降ってからりと晴れるとは限らないけれど、からりとした気持ちで生きてゆきたい。2018/07/16
佐島楓
73
最初から突っ走るわけではなく、だんだん物語のつながりが見えてきて、いいせりふが出てきて・・・読み終わったとき、本当に陽が射してきたのを見た気がした。2017/06/07
future4227
61
ニューカレドニアをキーワードに、自分の生き方を模索する人々が織り成す連作短編集。それぞれの話にチラッと出てくる人が別の話で主人公になり、読み進めるにつれて少しずついろんな人が結び付いていく。誰だって自分の人生に疑問を感じる、ふとした瞬間があるはず。その時に今までの人生をかなぐり捨てて、大きな一歩を踏み出せるかどうか…その勇気を与えてくれるニューカレドニア。南国のスコールのように悲しいときは思いっきり泣いて、あとはすきっり晴れやかに生きていこう。そんな夢と希望を与えてくれる天国に一番近い島。2018/09/04