出版社内容情報
去年の冬から、私は築五十年の世田谷の家で暮らしはじめた――いま、私たちは「世界」を体感する。日本文学の傑作にして著者代表作。
【著者紹介】
1956年、山梨県生まれ。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞を受賞。
内容説明
小説家の私が妻と三匹の猫と住みはじめた築五十年の世田谷の家。そこに暮らす人々の音や交錯する視線に誘われるように立ち上がる家の記憶は、やがて生と死、過去と現在を溶かした壮大な交響曲となり、いま私たちは“世界の深層”を体感する。日本文学の傑作にして、著者代表作。
著者等紹介
保坂和志[ホサカカズシ]
1956年、山梨県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
48
穏やかな時間が流れているのを感じました。賑やかでゆったりとした日々。その中でかつての記憶が出てくるのがほっこりします。過去と現在が通じる「時」を主人公にした作品なのですね。2022/09/12
佐島楓
47
猫好きの大人におすすめしたい作品。こういう本は昔を振り返るだけの余裕のある人でないと楽しめないだろう。2016/03/20
きょちょ
23
子供の頃に住んだことのある家に、大人になってから再度住むことになった主人公。 昔と今、その家に住んでいた人をうまく交錯させながら、「人間の感性」を描く。 保坂作品らしく、主人公はいろいろなことを(私は絶対そこまで考える事のないテーマに)あれこれ考える。けれど主人公自身関心がないことは実にあっさり片づけてしまう・・・。 ん~、それってどうかなぁ・・・。 家の庭の木々をここまで細かく描かれて、これを楽しめる読者は偉いと思う。 横浜ベイスターズの選手それぞれの応援歌、私は読むだけで赤面してしまう。 ★2016/11/21
モーモー
17
築50年超の家には、住んだ人の記憶が残っていれる。今ではすっかり見ることがなくなった大家族と猫3匹のはなし。家で聞こえる音や人の気持ちが交差する。 淡々とすすみながら、読んでしまう内容でした。 ちょいちょい入るベイスターズの選手の話が地味に面白い2023/11/02
フリウリ
13
「寄せては返す波」のような小説で、おもしろいです。「場所やモノ(実在)にひっつく記憶/心情(観念)」をテーマに、「実在と観念」の関係性がさまざまに検討されていきますが、「実在と観念」という考え方には端から「生と死」という考え方が含まれているので、小説の時間的展開に従って「生と死」のほうへと深まっていくようには、(わたしには)読みにくいところが、少し惜しいと思いました。家と生き物(猫と人間)の関係性を描くためには、これだけの分量が必要なのでしょうが、ちょっと長いのではないか、とも。72023/12/02
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