出版社内容情報
ランス大聖堂、塔から転落した男と堂内で死んだ浮浪者。二人の死を繋ぐのは有名なステンドグラス?『最後のトリック』著者の傑作!
【著者紹介】
1963年山形県生まれ。2007年、『ウルチモ・トルッコ』(『最後のトリック』と改題し河出文庫)でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年、「人間の尊厳と八〇〇メートル」で日本推理作家協会賞を受賞。
内容説明
仏・ランス大聖堂の南塔から男が転落、地上八十一・五メートルにある塔は密室状態で、警察は自死と断定した。だが半年後、再び死者が。被害者の共通点は死の直前、シャガールの花窗玻璃を見ていたこと。ここは…呪われている?壮麗な建築と歴史に隠された、事件の意外な結末。これぞミステリー!『最後のトリック』著者による異形の傑作。
著者等紹介
深水黎一郎[フカミレイイチロウ]
1963年、山形県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。ブルゴーニュ大学修士号、パリ大学DEA。2007年、『ウルチモ・トルッコ』(『最後のトリック』と改題、河出文庫)でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年、「人間の尊厳と八〇〇メートル」で日本推理作家協会賞(短篇部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mariri
31
んー切ない。芸術シリーズ3作目。ランス大聖堂で不審死する者たち。シャガールの花窗玻璃が事件の鍵を握る!カタカナを漢字表記で綴られ序盤は戸惑うが、これも目から鱗なトリックであるので要注意。メイン事件のトリックは正直拍子抜けで疑問も抱くが、ランス大聖堂でしか行えない唯一の殺人として見ると面白い。そして芸術シリーズの目玉、美術についての見解はお見事。シャガールの作風は自由の土台を踏んだ幼稚作品との見解。作品への理論を物語へ溶け込ませるのが上手い。芸術を愛し尊敬の念を抱く彼等とランスを旅できる贅沢な芸術作品! 2018/04/06
coco夏ko10角
29
芸術探偵シリーズ。オペラや動物園の象の事件より後である現在と瞬一郎が18歳のときの出来事が書かれた作中作。このルビ以外一切カタカナを使用しない作中作、最初は「うわっ」となったけど慣れるといい感じ。今回も美術や芸術のことがたっぷり。その方面には明るくないので、このシリーズで初めて知ることも多く勉強になる。2017/09/04
ちょん
20
カタカナを全て感じにしてルビを振ってあり…読みにくいことこの上ないと思っていたのですが、文中でルビが日本独特のものだと説明されており、うむむ、と矛を収めました(笑)ラストシーンが何だかとても美しくて素敵。舞台となったランス大聖堂行ってみたいなぁ。2024/11/16
きょん
13
深水さんの本を読むと、いつも事件そのものや犯人達は脇役に過ぎない気持ちになるなあ。今回も独特の外来語をすべて漢字に置き換える文章が正直読むのに疲れました。せめて人の名前とか地名はカタカナにしてもいいと思うんですが…。2015/12/29
stobe1904
11
芸術のうんちくがたくさん詰まった本格ミステリー。フランスのランス大聖堂から落ちた死亡事件をめぐり、世界遺産でもあるランス大聖堂とその内部のシャガールのステンドグラスを中心として、芸術探偵の神泉寺瞬一郎が事件を解いていく。著者のランス大聖堂やステンドグラスの丹念な描写によって、その場にいるような臨場感が伝わってくる、芸術に対するその迫力はあり変わらず健在。作中作のカタカナを排した文体は読みにくいが、言語に対する作者の強い思いのようなので、このような趣向もありかもしれない。★★★☆☆2016/02/28