出版社内容情報
けっして偉ぶらない、ひとの弱さを知りぬいた詩人の、こころやさしいエッセイ集。低い位置から、温かくひとと世の中をみつめる。
【著者紹介】
1926-2014 詩人。山形県酒田市生まれ。代表作は「夕焼け」「祝婚歌」など多数。校歌・社歌も多く作詞。詩集に『贈るうた』『夢焼け』『吉野弘全詩集』など。読売文学賞詩歌俳句賞、詩歌文学館賞受賞。
内容説明
さまざまな観察、くさぐさの思い出、語り伝えておきたいこと…。格調と感動をもっともやさしくわかりやすく表現した現代詩人ならではの、その創作の深いところに横たわる、日常の感概。詩に結実する以前の繊細な感情を、読者によりそって伝えようとする、「祝婚歌」の詩人の、弱さの側に立つ随想集。
目次
１ 遊動視点（ヒッカカル／ぼく疲れる／飛ぶ／時間の物差と政治；「神田川」には痛みがある。私的でいながら「私」性を超えている。；「天使が多ければ、それだけ空間が、より自由になる」 ほか）
２ 自分の愚かしさに（戦争っ子；釣りの思い出；軍事教練と酒商デパートと何先生 ほか）
３ 言葉の身辺（東北地方出身者；手紙；印刷と私 ほか）
著者等紹介
吉野弘［ヨシノヒロシ］
１９２６年、山形県酒田市生まれ。詩人。帝国石油勤務、コピーライターを経て文筆業に。「櫂」同人。詩集に、『感傷旅行』（読売文学賞）、『自然渋滞』（詩歌文学館賞）など。２０１４年逝去（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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初美マリン
113
改めて気づかされたことを幾つか。空間の使い方、生理的な音は非常に疎ましいもの、自分の主義も相対的なものであるということ。我が身をふりかえるのに、いい機会でした2022/02/12
はづき
13
吉野弘は、電車のマナーに敏感だった。自分のおろかさに真摯だった。弱い立場のものに誠実だった。 詩の一歩手前のエッセイ集。2015/09/20
かとうさん
6
軽いエッセイ集。通勤用に買った本で、意外と考えさせられる内容。この方文章が上手いな。2016/05/01
キーにゃん＠絶対ガラケー主義宣言
4
詩人とはかくのごとく言葉と向き合うのだな。2021/12/22
Noelle
4
詩人のエッセイは面白い。詩に表れる想念の素になった小さな出来事や日々の思いなどが、詩人の言葉のフィルターにかけられて、詩に昇華していく、、その過程が垣間見れるかと思いきや、意外と詩人は世間の正しくない人や物事に怒っている、ご自分の愚かしさに地団駄踏みつつ寄り添っている。ポエム漫談 目についての考察はユーモアたっぷり。吉野さんの人柄がうかがえるエッセイだった。2017/08/20
