出版社内容情報
日本固有の言葉=大和言葉を語る名編を集めた、珠玉のアンソロジー。日本人の心にひびく大和言葉の秘密を、言葉の達人たちが教えます
内容説明
日本語は、日本固有の言葉=大和言葉が、大量の漢語・外来語を取りこんで成立した。日本人のものの考え方に深く染みこみ、日本語を形づくる骨格として太古の血と精霊が息づく「やまとことば」。その美しさと魅力が再発見できる、日本を代表する文人や研究家たちによる日本語論の名編を集めた、珠玉のアンソロジー。
目次
字音語考(丸谷才一)
「合」という言葉(大岡信)
「思う」という言葉(宮柊二)
よういわんわ―古語について(田辺聖子)
もうひとつ再考(三國一朗)
歌謡曲における格助詞について(井上ひさし)
オノマトペの先進地“俳句”(佐佐木幸綱)
現代詩とヤマトコトバ(富岡多惠子)
感動詞アイウエオ(対談)(大野晋;丸谷才一)
批評用語としての大和言葉(久保田淳)
日本語語彙―固有語と外来要素(山田俊雄)l文体の事(古事記伝一之巻)(本居宣長(大久保正訳))
漢字はなくなるか(野村雅昭)
空車(森鴎外)
古語復活論(折口信夫)
子供と言葉(柳田國男)
南風(山本健吉)
ことばの古代生活誌(抄)(古橋信孝)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
28
論文集。面白かったのは、丸谷才一「字音語考」、大岡信「『合』という言葉」、宮柊二「『思う』という言葉」、折口信夫「古語復活論」、久保田淳「批評用語としての大和言葉」。最近出回っている大和言葉を紹介した本かと思ったら、予想外におもしろい文章を読むことができて満足しました(笑)2016/01/07
runner M
4
口語に近い言い回しなら、中学校の古典に出てくるような古文は、そのまま読みきることができます。知らない言葉が混ざっても、文脈から意訳できます。 だからといって、昔ことばをすべて把握しているわけでもないので、今回の本は、良い勉強になりました。 「とおしろし」なんてことばは、今回は始めて知ったし、地誌を基本にして原や山を説明する視点も、楽しく読ませていただきました。2017/08/07
donky
3
原日本語(やまとことば)の成立、その表情や語彙などを論述した著書を多角的に抄出したアンソロジー。丸谷才一、大岡信、井上ひさし、山田俊雄、本居宣長、柳田国男などの18編の論考を集め、日本語への深い愛着を抱かせます。母語の多様性と美しさを再確認させるとともに、原日本文化の変遷と変容をも再考させてくれます。印象に残ったのは、宣長の科学的考究の素晴らしさ。漢字が日本語表記からやがてなくなるという野村雅昭の指摘はショックでした。母語の豊かさをなんとか残せないものか…。新国学ともいうべき視座は必要です。2015/11/20