出版社内容情報
55歳、すでに家督を譲った隠居後に、蝦夷への測量の旅に向かう。初めて日本の正確な地図を作成した晩熟の男の生涯を描く歴史小説。
【著者紹介】
1927年生まれ。美濃部東京都知事秘書などを経て、作家に。著書に『人間の器量』『名将に学ぶ人間学』『近江商人魂』『宮本武蔵』『伊能忠敬』『直江兼続』『立花宗茂』『項羽と劉邦』『戦国武将引き際の継承力』等。
内容説明
緯度一度の正確な長さを知りたい―。忠敬が奥州から蝦夷地にかけての測量の旅に向かったのは、一八〇〇年、すでに家督も譲った五十五歳の春であった。傾きかかった佐原の名家に養子に入って家業を建て直し、隠居後は天文・暦学に精進し、身分の軋轢をはねかえし、初めて日本の正確な地図を作成した晩熟の男の生涯の軌跡。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年、東京生まれ。作家。東京都庁職員時代は、知事秘書、広報室長、企画調整局長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
159
謹厳実直。伊能忠敬の仕事っぷりを表現するなら、こうでしょうか。ハイライトは地図作りですが、そこに至るまでの境遇や功績もしっかり著してくれるのは大変ありがたい。天文学に進む過程は、奥さんのお義父さんの口癖が後押しするのもとても面白い。数学の才覚があり、細かな性格が、研究者的な素養を充していたのでしょうね。そして測量の機運が高まるの凄いね。申し合わせたかの様な。話が飛び飛びになったり、話の前後関係がある箇条書きがあったりは、読み難くは無いけど、少し変な気持ちにさせました。2021/03/27
糜竺(びじく)
40
伊能忠敬は江戸時代に足かけ17年かけて日本全土を歩いて測量し、史上初めて日本の正確な形を明らかにした地図を完成させ、しかも、55歳から測量を始めたすごい人です。一応、その事実はなんとなくですが前から知ってはいたんですが、測量を始める前の彼の人生は全然知らなかったので勉強になりました。彼の測量する前は、地元でかなりの業績を残した人であった事は全然知りませんでした。そういった、業績などの積み重ねがあって、第二の人生である測量に打ち込む事が出来た事をこの本は特に訴えていたような気がします。色々学べました。2014/09/23
きいち
37
伊能忠敬の生涯を、今のビジネスマンのロールモデルとしてわかりやすく提示する。光を当てるのは、婿養子として外から入り、商店主・庄屋として実績をあげてきた前半生。そこで培った能力や知識、スキルがのちの地図作りへと活かされていく、その様を丁寧に紹介する。先日読んだ佐原の史家小島一仁の三省堂選書に主に依拠。◇連続性。伊能じしん、佐原での仕事と、旅での測量、そんなに違うものと考えてなかったんじゃなかろうか。宮本常一が民俗学と離島振興を同じ目で取り組んでたように。第二の人生なんて構えて考えないほうがいい、そう読んだ。2017/11/25
のびすけ
24
伊能忠敬は佐原の家業を隠居して50を過ぎてから全国測量を始めるわけだけど、本書はそれまでの半生、人物評がほとんど。全国測量の話は最後の章でさらっと触れている程度。著者のあとがきに、「輝かしい晩年を生きるために、前半生でどんな蓄積をしたか」を掘り起こした忠敬伝であるとのことで、納得。2023/10/14
マッサー
15
生涯青春、伊能忠敬は、50歳から日本地図作成のための測量を始めたところに魅力を感じた。この本は、測量の話は、そんなに書かれておらず、伊能忠敬の人間性が主に書かれていた。考え方は、とても勉強になった。❗️❗️❗️❕❕2022/06/30
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