出版社内容情報
竹から生まれた美しき姫をめぐり、5人の貴公子たちが恋の駆け引きを繰り広げる。日本最古の物語をノーベル賞作家による現代語訳で。
内容説明
竹から生まれた、光り輝かんばかりの美しいかぐや姫。彼女をめぐり五人のやんごとない貴公子たちが恋の駆け引きを繰り広げるが、姫は帝の前に姿も見せずに天女たちと共に月へと昇っていく―。日本最古の雅な物語をノーベル賞作家による美しい現代語訳で。川端自身による詳しい解説も併録。
著者等紹介
川端康成[カワバタヤスナリ]
1899年、大阪生まれ。東京帝国大学文学部国文学科卒業。1924年、横光利一らと共に『文藝時代』を創刊し、短編小説を数多く発表。「新感覚派」の作家として注目される。1961年文化勲章、1968年には日本で初めてのノーベル文学賞を受賞。1972年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
77
川端康成が竹取物語を訳し、さらに解説の中で物語の素晴らしさを語り、書かれた年代を推測している。日本の中で最も古い物語。今昔物語に似たものがあるが、素晴らしさは比べるべくもない。五人の求婚者が失敗に終わった様子から生まれた言葉・たまさかる(魂がぬけてぼんやり) 恥を捨つ(鉢を捨てる) あえなし(阿部なし) 甲斐なし(貝がなかった)など。五人のうち三人は、もっともらしくみせるために実在の人物である。余談だが、「たけとりものがたり」と書いて変換しようとすると、「宇宙人疑惑」としか出てこなかった(苦笑)2014/07/21
夜間飛行
55
かぐや姫「みなさまがどんなに戦う気でいらしても、あの国の人が来ましたら、戦う気などさらさら無くしてしまうでしょう」。翁「よろしいとも。迎えの人々がやって来おったなら、わしの長い爪でその目玉をひっつかんでつぶしてしまってくれよう。その髪の毛をとっつかまえて、引っかき回してぶちのめしてくれよう。そいつのお尻をひんむくって、お役人たちの前で恥をかかせてやろう」…竹取の翁って剽軽なんだ! 今まで貴公子達へのシニカルな笑いばかり見ていたが、この物語の笑いは優しさや哀しみとも溶け合い、交響楽を奏でているのに気づいた。2014/04/28
たぬ
42
☆4 グロホラーを読んだので(※飴村行『粘膜人間』)美しい文章で浄化しようと思ってのチョイス。しかし美文よりもとことん詳しい解説のほうが印象的でした。物語や歌の解説のみならず書かれた時代や作者の性格も考察してる。給料未払いがバレた貴公子にはうわあ…とこちらも恥ずかしくなってしまったけれど、月人の殺害を声高に叫ぶ翁もまたインパクト強しです。かぐや姫たちが月へと昇っていくのが最終シーンじゃなかったことにも驚きました。2022/06/20
ビイーン
38
川端康成による現代語訳は綺麗な日本語で一読の価値がある。日本に現存する最古の物語が1200年の時を経て読めるのは凄い事。2022/02/20
tokkun1002
25
古代物語中最古の作品。作者不明。現代語訳川端康成さん。初めて「かぐや姫」の全容を知り、良くできていると感動。解説も丁寧。宇宙人がいるかなど昔から考えた人がいたのか分からないけれどもどうだろう。オリ姫が妹かは書かれてないね。2014/10/08