出版社内容情報
恋する想いは、今も昔も変わらない。みやびな “恋うた”から生まれた、現代の22のせつない恋物語。文庫オリジナル作品収録!
【著者紹介】
1983年北海道生まれ。歌人・小説家。2001年、歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生の時にデビュー。その他の著書に『ハニー ビター ハニー』『あとは泣くだけ』『その桃は、桃の味しかしない』など。
内容説明
恋する想いは、今も昔も変わらない―あの紫式部や在原業平のみやびな“恋うた”をもとに、千年の時を超えて、加藤千恵がつむぎだす22篇の愛のかたち。出会いのときめき、別れの痛み、恋と友情のもどかしさ…ハニー&ビターで、とびきりせつない恋愛小説。文庫オリジナル作品収録!
著者等紹介
加藤千恵[カトウチエ]
1983年北海道旭川市生まれ。歌人・小説家。2001年、歌集『ハッピーアイスクリーム』で、高校生の時にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
116
加藤千恵さんの作品を読むのは4作目。最近、短歌を読むのにハマってます!少ない文章でとても想いが伝わり深いですね。今作は約二千首の歌の中から加藤さんが選んだ二十二首の歌とそれらの短歌から生まれたショートストーリーと加藤さんの歌が紡がれています!どれも素敵な短歌で訳もとてもわかりやすいです。ショートストーリーは加藤さんらしく切ない気持ち、恋する気持ちが描かれていて共感もできます。加藤さんの現代風な短歌がとてもストレートで加藤さんらしくて好きです♪16話の話はピュアで読んでて涙が出ました☆とても良かったです♡2014/06/30
やも
86
限られた文字数で恋の歌をおくるなんて、ロマンチック✨そんな短歌からカトチエさんが作られたラブストーリー22話。終わりかけてる恋、始まりそうな恋、誤魔化して知らないフリをした恋、何も伝えられなかった恋、戻りたい恋、戻れない恋…1人1人のいろんな恋。読みながらふと、昔の恋を思い出して懐かしくなった。私しか知らない顔や感触を、あの人も懐かしんでくれてたりするのかな?そこらへん、男性ってどーなの🥺学のない私には歌をおくることも返歌も難しいけど、恋するってスペシャルな事で人生の宝物なんだって思ったよ💘★3.52022/08/02
いこ
86
泣けちゃった。例えば第十二話「揺らしたら溢れてしまう」まず新古今和歌集の歌「玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする」 次に訳「私の命が終わるというのなら、いっそ今すぐに終わってほしい。これ以上生きていたら、あなたへの恋心をひた隠しにしていることに耐えきれなくなってしまいそうだから」そして、この歌がモチーフの7頁程の小説。さいごに著者の歌「揺らしたら溢れてしまう もういっそわたしごと消えてしまいたい夜」 この形式で二十二話。誰も皆、覚えのある気持ち。それは千年前の人も同じだったみたい。 2022/01/28
10$の恋
42
甘く切ない恋の灯を、胸に宿してあの人を想う_。読むほどに切なくなった。「新古今和歌集」から抜粋された22首を現代の恋愛物語にして表現した短編集。今昔変わらぬ男女の情愛、慕う心、安易に成就できないところが胸を焦がす。「なぜ言えないの?」「明日にはきっと…」「忘れられない…」「一歩近づけたね」「待ってるのに…」「無くした恋の辛さ」。人として生まれて、恋するって素敵なことだ。ただ、恋路は常に気紛れ。不安な情緒で迷子になったり、愛の淵にひとり佇んだり。先人の綴り遺した五七五七七の31文字、それは最高の『愛言葉』。2022/01/28
miri
40
新古今和歌集の和歌を題材にした全二十二話の短編集。恋愛のパターンが22もあるのだろうかと思い、22もあるのだなと読後思う。正確に言えば恋愛だけではなく別れや出会い、心が揺れ動く一コマを描き出しているのだが、恋愛の印象が強い。人生が色彩豊かになり、物語が紡がれる。これほどの喜びと哀しみが市井の人の中に横たわっている、それこそ愛おしくないか。どの一編を良いと思ったかで恋愛観が暴露されそう。私は13話と19話が好き。2025/01/01