河出文庫
黄(ウォン)夫人の手―黒石怪奇物語集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 277p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309412320
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

大泉黒石。ロシア人を父に生まれ、国際的な無頼派ぶりで、混血文学の先駆者として大正文壇の寵児となる。そして―。死んだ女の手がさまざまな怪奇事件を起こす「黄夫人の手」他、人間の魂の不思議を描く、黒石の怪奇小説傑作選。

著者等紹介

大泉黒石[オオイズミコクセキ]
1893年、長崎生まれ。作家。上京し、職を転々とした後、『中央公論』の滝田樗陰に見出だされ、『俺の自叙伝』で文壇の寵児となる。俳優の滉は三男。1957年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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sin

16
作者は饒舌に語り、最後に読者を突き放す。語りたいだけ語って、曖昧を残して行くようなそんな掌編がここにある。そこには作者の生き様がこめられているものだろうか?彼の残した物語より彼本人に興味を覚えた。2013/07/20

あ げ こ

9
人間の魂が放つ不可思議さ。不意に足を踏み入れてしまった命運の奇妙さ。恐怖に支配された人々が見せる滑稽さ、愚かしさ。次なる怪奇を無意識に求め、危機に瀕してなお、更に高まる好奇心。彼等が目の当たりにする異様な光景はみな、どこか妖しさを孕んだもの。退廃的であるからこそ、じわじわとねぶるように情欲を煽り、官能を焦がす艶めかしさ。じめじめと湿り、暗く、汚らしく、欲望、怨念…あらゆる陰気に塗れた、いかにもな舞台。軽やかにカラッと、冷酷にキラリと、飄々とした語り口は自在にその光り方を変え、読む者の心を魅了する。2014/08/04

いりあ

7
大泉黒石の短編から怪談綺談に準ずる作品を8作まとめたもの。どこかの書評で紹介されていたんだと思いますが、覚えてない。長崎生まれの父親がロシア人、母親が日本人という背景でだいぶ苦労した明治生まれの作家さんです。どの作品も文体なのか作風なのか分かりませんが、フワフワしてて掴みどころがない感じです。読み進めるうちに物語に置いていかれて、どこが出口か分からなくなる感じ。これを読みにくさと感じるか、味と感じるか微妙なライン。本作の中だと「眼を捜して歩く男」が一番面白かったです。2018/06/09

misui

6
大正時代の作家・大泉黒石の選集。こういう本はとても貴重なのだけど、内容は可もなく不可もなくといった感じ。味のある文体もだんだんと丸くなっていった。集中のベストは、ドイツロマン派から想を得たような趣の「青白き屍」。この作家、いくつかの作品で投げやりな省略を行っていて、それがなんとも不安な夢にも似た感触を生んでいる。2013/12/29

ネムル

5
話をあちこち転がすくせに、話を無為に閉じるニヒリスティックなところで好みは分かれるのだろうな、と。ベストはやはり「黄夫人の手」だが、そうした悪癖(?)がよく出た「尼になる尼」や、オチは太閤秀吉様のお気に召すまま……とひどいリドルストーリー「曽呂利新左衛門」が好き。2013/08/08

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