内容説明
小説は、読むだけで終わらせたらもったいない。読んで、書いて、訳してみれば、一〇〇倍楽しめるはず!“読む=書く=訳す”ためのメソッドを、わかりやすく、かつ実践的に解説。文豪と人気翻訳者が対話形式で贈る、究極の小説入門。
目次
序章 「読む=書く=訳す」小説入門
第1章 「小説の書き方」
第2章 「小説の訳し方」
第3章 「小説の読み方」海外文学篇
第4章 「小説の読み方」日本文学篇
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年東京生まれ。『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞を受賞
高橋源一郎[タカハシゲンイチロウ]
1951年広島県生まれ。『さようなら、ギャングたち』で群像新人長篇小説賞優秀作、『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞、『さよならクリストファー・ロビン』で谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
73
ほとんど知らないジャンル(英米文学)の本のお話を聞くのが、こんなに楽しいとは……! 頭がフル回転しっぱなしのエキサイティングな読書だった。日本・英米文学論、小説論、翻訳論がこの一冊で読めてしまう、とてもお得な気分になる(それだけではありませんが)対談集。2018/09/28
へくとぱすかる
54
タイトルとは裏腹に、主にアメリカ文学とからめながら、現在の状況として、「近代文学」の終わりを論じていく。それが読む・書く・翻訳とつながる。社会状況や父を敵と考え、対決・闘いを描いてきた手法が、もはや通用しない時代。果たして、いつまでも仮想敵を求めたがるのはどうなのか。その方がルーティンワーク的で、精神的に楽だからではないのか、などと、いろんな感想を持った。2016/04/06
syota
33
高橋源一郎さんと柴田元幸さんが、2000年代に数度にわたり行った対談をまとめた本。特に1980~90年代の日本文学とアメリカ文学の潮流について、お二人のつっこんだ話が読めて興味深い。自分がこの年代の文学作品に疎いこともあり、非常に勉強になった。高橋さんの小説観についても率直かつ掘り下げた内容が語られているが、こちらは私の固くなったアタマでは少々ついていくのに骨が折れた(泣)。できれば、2000年代以降の文学についても、お二人の話を読んでみたい。2024/02/05
メタボン
33
☆☆☆★ 俯瞰的にニッポンの小説を論じる二人の博識、視点には恐れ入った。特に日本近代小説の終焉について、綿矢りさは近代小説を意識せずに本質的なところで近代小説となっているという逆説的な捉え方は凄い。ポストモダンの騎手とも言える高橋源一郎がゆえの小説論。そして数々のアメリカ文学を紹介してきた柴田元幸ゆえの確かな翻訳論。面白かった。ただ読みながら本当にそこまで言えるのかという懐疑的な気持ちになったのも事実。二人が推薦する海外・日本の小説を実際に読んで確かめるしかないと、「術中にはまって」しまった。2024/01/08
harass
28
翻訳者柴田元幸と作家高橋源一郎の対談本。現代小説(非エンタメ)の傾向を語る。現代文学の仕掛けや意図を大まかに語っていて、薄々自己流だが感じてはいたところを、いろいろと巧みな比喩で端的に表現してあり、ああその通りだと何度も頷いた所が多かった。三島由紀夫のような押し付けがましい”Look at me !”文体というのはあまりにうまい。ブックガイドリストもあるが、読むことがないと思っていた作家がけっこう上がっていて、好き嫌いなく読むべきだと反省。積ん読して放置していたがもっと早めに読めばよかったと思った本だ。2014/03/01