内容説明
雨が降りしきる河原で大学生の西川が出会った動かなくなっていた男、その傍らに落ちていた黒い物体。圧倒的な美しさと存在感を持つ「銃」に魅せられた彼はやがて、「私はいつか拳銃を撃つ」という確信を持つようになるのだが…。TVで流れる事件のニュース、突然の刑事の訪問―次第に追いつめられて行く中、西川が下した決断とは?新潮新人賞を受賞した衝撃のデビュー作。単行本未収録小説「火」を併録。
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
500
中村文則 全作品完読プロジェクトは一旦完了しているのですが、単行本未収録「火」が河出文庫版の本書に含まれていることを知り、このタイミングで読みました。「銃」は再読ですが、著者のトンガリ加減は流石で名作だと思います。「火」は「禁じられた遊び」を想い出させる「性と暴力の迷宮の物語」でした。今年の前半に中村文則の新作が出るようなので期待したいと思います!2016/04/19
zero1
395
重苦しい中に描かれたものは何か?中村のデビュー作で芥川賞候補、新潮新人賞だが底知れぬポテンシャルを感じた。大学生の主人公は死体の近くにあった銃を拾う。そこから非日常の世界が始まる。銃は人を殺すための道具。あれば使うし、人の行動を変える。作品でも描かれているが、銃と核兵器には共通点がある。虐待された子やその母親は、後の作品につながる。あとがきで中村はこう述べている。【絶望的なものを把握しようとすることはそれだけで希望につながる】つまり、希望を浮き彫りにするため絶望を描くのが中村流。衝撃の結末をどう解釈する?2019/04/24
パトラッシュ
341
外国の射撃場で拳銃を撃った経験がある。数種類の銃で百発以上撃ったが、その破壊力はわかっても銃自体が魅力的とか美しいとは感じなかった。拾った拳銃に魅せられてしまう心理は理解しにくいし、そんな若者が破滅への一直線を辿るストーリーの見当はついてしまう。警察との対決シーンは明らかに『罪と罰』をなぞったもので、結末もありきたり。ここで何か意外な曲がり角を展開できたなら、強烈なドラマになっていたのに惜しい。しかし、そこへ至るまでの作者の筆力は少々強引だが読ませるエネルギーに満ちている。後の『掏摸』の原型が見えてくる。2021/01/06
ehirano1
258
「銃」を拾って以来、「銃」に身も心も徐々にハイジャックされていく心理描写が秀逸過ぎてあっという間ながらも、その時間は濃厚!特に、心理的緊張感もそうですが、変わりゆく心理状態というか、突き詰めていった先に待っていたのは「虚無」と「破滅」というのがなんとも味があると思いました。2026/08/08
夢追人009
242
中村文則氏の恐るべき処女作です。『銃』ミステリー的な意味ではないけれど最終章はまさに衝撃の大どんでん返しでした。もはや悔やんでも手遅れだけど弾丸は全て抜いておくべきでしたね。銃は小心者をも強者に変える凶々しい力を持っていて静かに好機を窺いながら狙い定めて格好の獲物にここぞとばかりに襲い掛かったのでしょう。『火』母親の「まだ足りない!」の声は「もっと苦しめ」という呪詛の叫びなのでしょう。ヒロインには今はまだ信じられないだろうけれど「生きていて良かった」と思える日がきっと来るから懸命に耐えて生き抜いて欲しい。2018/11/23
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