内容説明
文学史に燦然と輝く名作「源氏物語」。その誕生の裏には、作者・紫式部の知られざる恋人の姿があった…。長年、「源氏」を研究してきた著者が、推理小説のごとくスリリングに作品を読み解いていく。作品合作説から、登場人物の自殺説など、作品に新たな光をあて、さらなる物語の深みへと読者を誘う。
目次
第1章 王風競わず
第2章 作者を考える
第3章 紫式部の恋
第4章 うつりかわり
第5章 物語の構成
第6章 宇治
第7章 残んの香
著者等紹介
近藤富枝[コンドウトミエ]
1922年、東京生まれ。作家、東京女子大学卒業後、旧文部省、NHK、武蔵野女子大学などに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あん
53
源氏物語誕生の裏に隠された、紫式部の人生に焦点を当てた本です。紫式部は当時としては晩婚の女性でした。 独身時代の長さからレイプ願望があって度々設定したのではないか?女性らしい嫉妬から、作中の男女の恋を実らせないようにしたのではないか?など納得いく箇所が多々ありました。 こういう本を読むと、ますます源氏物語を再読したくなりますね。2014/08/16
おおにし
12
著者は光源氏のモデルの一人に具平親王(村上天皇第七皇子)を挙げている。紫式部は親王に仕えていたことがあるのではないか、親王の文藝サロンに式部が出入りして和歌の腕を磨いていたのではないかと推測している。式部が晩婚だったのも親王への思いが捨てきれなかったのではないかとも。大河ドラマ「光る君へ」の登場人物リストには具平親王がないが、ぜひ親王と式部のロマンスもドラマに加えてほしいものだ。2024/01/29
ず〜みん
3
源氏物語を基に、紫式部の人生を紐解いている本。空蝉は昔から紫式部がモデルである、という説や道長の召人だった、など現在も紫式部の人物像を語るのに外せないことが沢山書かれています。2011/12/23
シードラ
3
いわゆる源氏の解説本ではなく、あくまでも紫式部の人生にスポットを当てて本当に源氏物語を書いたのか、と探っている本。とても面白かった!それに説得力があると思いました。一度この方の講義を聞いてみたい。2011/06/03
鈴木貴博
1
長年源氏物語を読み込んできた著者による、源氏物語と紫式部周辺の様々な挿話と謎解き。源氏物語本文はもちろん、他の文献の記載や史実を関連付けて解釈することにより見えてくるものがある。特に表題になっている“紫式部の(最初の)恋”が重要な鍵となり、それにより見える景色が変化していく。古典を読み、知る醍醐味を味わうことができる。2020/08/02