内容説明
スワンは兄と二人暮らし。13歳の誕生日、立て続けに三人の少年から“王子”に間違えられた。“超”の最中に事故にあい、行方不明になっている王子にそっくり、というのだ。本当の王子はどこに?…“超”する少年たちの出会いと別れを描く“超”人気作、待望の文庫化。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京都生まれ。88年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コットン
69
植物と人間が共生する王子を探し求め、ほのかな香りで作品全体を包み込むような幻想的物語。今回も長野ワ―ルドに浸りきる~♪2016/05/13
優希
46
すっきりとした味わいのSFと言えますね。地上に住む少年・スワンが13歳の誕生日に3人の少年から王子に間違えられてしまいます。時空を<超>行き来できるからこそあり得たことなのかもしれませんが。めまぐるしく<超>していく少年たちが美しかったです。ただ、スワンを王子と思い込んでおきながら、本物の王子がみつかればあっけなく去って行ってしまうのが何だか寂しい気もしました。カイトがいなければ仄かな絆は解けたままだったでしょう。瑞々しくやわらかな哀しみをたたえていますが、世界が綺麗で面白かったです。2014/10/06
辛口カレーうどん
15
20代初めから半ばまで、長野まゆみ作品に傾倒していてすべて購入していたが、青い鳥少年文庫シリーズを最後に離れてしまった。これはそのすぐ後に出た作品のようだ。【新世界】と【テレビジョン・シティ】と何かを混ぜたような話。身体から植物が発芽して蔓が伸びるとか、菫のケーキとか、好きな世界観にねじ込んでくるBL的描写が嫌。これが嫌で離れてしまった。昔の純粋な少年同士の友情とかまた読みたいなぁ。2016/08/02
星野
13
表紙の可愛さに思わず購入。相変わらず、長野まゆみのSFは世界観が絶対的で、良くも悪くもなかなか私たちを侵入させてくれない。閉鎖的な物語空間。初めはとっつきにくかったものの、世界観を何となく把握してからは普通に楽しめた。‘「ばかだな、泣くのに理由なんて要らないんだよ。理由にとらわれるなんて、ナンセンスだ。(略)涙はゆるやかに躰を解き放つために流すんだよ。骨も肉もない、ただの水に還るためだ。そうして、何ほどでもない自分に気づく。だから、何の理由もなしに泣いていいのさ。」’2011/04/14
橘
10
面白かったです。みずみずしくやわらかな植物のような少年の哀しみみたいなものも感じました。ピエロαと王子との再開が綺麗でした。2013/10/20