内容説明
コポリ、コポリ…はじまりはいつも、音だった。月に一度、水が溢れ出す「みずうみ」の畔に住む少年、身体が膨張し大量の水を体内から放出するタクシー運転手、そして、あの日、慎二と園子の身に起きた出来事―喪失と再生、物語と現実…「はじまりとおわり」のない、循環する「命」の産声を描いた話題の長編小説。
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
1966年、大阪生まれ。京都大学文学部仏文科卒業。2003年、『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マンセイ堂
38
読むのにとても時間がかかってしまいました。何とも言えないです。理解しようという気持ちや、この先どうなるかと予想することができない作品だなと思いました。2013/09/07
これでいいのだ@ヘタレ女王
27
難しい。読むと言うより 文章を感覚で、共に流され味わうと言うのだろうか。コポリ コポリ 静かな波さえ立たない水中を海藻のように漂う気持ちになり味わう。とても静かで 暗いイメージの中に入り込むのだが不思議と気持ちは鎮まる。2015/06/19
シェルティ
27
兎に角てこずった。いしいしんじさんの「とりつかれ男」や「ぶらんこ乗り」は読みやすかったが、これは苦戦した。3章なる物語、パラレルワールドなのか、時系列なのか、どれとどれがリンクしているのかすら、考えられない。時期を見て読み直してみるか、アー、アー、エーイ、ウー、イ、イー。不可思議ワールド。2013/03/21
田氏
14
たぶん、いしいしんじ作品のなかで、いちばん「むずかしい」小説なんじゃないだろうかエウー。デヴィッド・リンチの映画とかを観たあとの気分に似ているんだウーイー。おそらくだけど、どこからどこへ向かうという流れよりも、それが起こっている場として存在している物語なのだと思う。それを物語というのかはさておくとして。場であるなら、流れという視点ではただ別ものでしかない出来事が、相克して打ち消し合うことなく重なりあうことだってできる。そうやってできるものは、到達地を目指すのではなく、ただそこに風景としてある話なのだレー。2022/07/18
key
8
「みず」のように、なくなったように見えるけれど存在する場所が変わっただけで、また生まれてやがてまた消えていく。浮かんだり、沈んだり、消えたり、現れたり、まるで日々の泡沫。生きるってそういうことなのかも知れないな、と読んでいて思った。読みながら夢の中にいるようだったけれど、それは本当に寝ていたのかも知れない。2017/09/11