内容説明
けん玉が上手かったあいつとの別れ、誕生日に自腹で食べた高級寿司体験、本が“逃げ場”だった子供の頃のこと…朝日新聞の連載で話題になったエッセイのほか、「受賞の言葉」や書評も収録。魅力全開の、初エッセイ集。
目次
1 指先からソーダ(父の「退職願」;伝わらなくてもいいんだ;シロップをこぼした場合の処置法 ほか)
2 アイスカフェモカショートサイズ(俵万智著『プーさんの鼻』書評;小島信夫著『残光』書評;金子光晴著『流浪―金子光晴エッセイ・コレクション』解説)
3 硬くて透明な飴(受賞の言葉;あるがままのドロップ;小説への旅 ほか)
著者等紹介
山崎ナオコーラ[ヤマザキナオコーラ]
1978年、福岡県生まれ。2004年、会社員をしながら書いた『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ユメ
54
山崎ナオコーラさんのエッセイは『かわいい夫』がとてもよかったので、旅先でこの本を見つけて嬉しくなり、迷わず購入した。これは私が読者として勝手に感じていることなのだけれど、ナオコーラさんは自分と考え方が似ている。生きていくうえでの悩みの方向性であるとか、世間の価値観とのズレによる葛藤であるとか、ささやかな幸福のポイントであるとか。私が日々ぼんやりと感じているそれらの事柄を、ナオコーラさんは遥かに深く考え抜いて繊細な言葉で文学に昇華してくれるので、読んでいてページを捲る指先が痺れ、ソーダの泡が立ち上る。2018/02/20
ゆか
45
一つ一つが短いエッセイ集。本当に小説家になりたくてなった人なんだという事が会話の端々から感じられます。そして、言葉を大切にしている人なんだなぁ〜と。難しい内容はなく、思った言葉をそのまま綴っているので、読みやすかったです。2016/07/31
サンタマリア
37
読み終えて時間を置いてから感想を書いているわけだけど、何が書いてあったのかあんまり思い出せない。ページをペラペラめくってもピンとくるものがない。ただ、文章を読むことが楽しかったことだけは覚えている。たぶん僕にはエッセイを読み込む力がないんだろうな。2023/08/30
masa@レビューお休み中
35
エッセイも、山崎ナオコーラにかかると、エッセイではなくなってしまう。物語のような不思議な感じで、その先に触れてしまいたくなる。でも、きっときっと指先がその先に触れたら、ソーダの泡のようにシュワシュワとかき消えてしまうんだろうなぁ。わずか数頁のエッセイは、彼女の探究の場であり、情熱の欠片であり、創作の源泉でもある。ひとつのお話がすごく短いので、電車の中とか、ちょっと時間が空いたときに読めるのもいい。そんな手軽さも、山崎ナオコーラ的ですごく好きだなぁ。読めば読むほど好きになる。2012/04/14
あんこ
27
作家さんによってエッセイの書き方が色々で面白い。ナオコーラさんのはひとつひとつが短くて詩のようでした。マンドリンサークルの小説は以前読んだ時あまり好きになれなかったのですが、最近読んだものがおもしろくて気になっていました。一見クールなかんじの人かと思っていたら、小説と読者に対しての愛がすごく伝わってきました。2016/10/09