出版社内容情報
明治の女性、御船千鶴子は霊感が強かった。東京大学心理学助教授・福来友吉に注目され、その透視術実験は一定の成功をみるのだが……。「リング」の母のモデルとされる霊能者の数奇な運命の物語。
内容説明
御船千鶴子は、熊本に生まれ育った平凡な女だった。だが、純粋で繊細な彼女は霊能力をもっていた。そんな千鶴子の潜在能力に注目した、東京大学助教授の福来友吉は、黎明期の心理学の可能性を、千鶴子の透視能力の開発に託し、実験を繰り返す。折から全国にまき起こった千里眼ブームとは何だったのか。
目次
不知火の女
福来博士の革命
著者等紹介
光岡明[ミツオカアキラ]
1932年、熊本市生まれ。作家。熊本大学法文学部卒業後、熊本日日新聞社入社、論説副委員長などを務める。「いづくの蟹」などで計4回芥川賞候補に。熊本近代文学館館長も務めた。著書に、『草と草との距離』(熊本日日新聞文学賞)、『機雷』(直木賞)など。2004年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナツ
2
読み物として面白かったが、ノンフィクションと思って読んだので小説だったのがちょっと残念・・2016/03/31
Fumihiko Kimura
1
地元の作家がいわゆる「千里眼事件」を描いた小説。本筋とは関係ないが、当時の松合の風情が熊本弁表記と共に穏やかに広がる点、筆者の手腕と見た。ただ、一冊を通読した場合、本書に含まれる「不知火の女」と「福来博士の革命」の関係が若干アンバランスな感なくはないし、また後者はやや未整理な印象もあるが、そういったことも含めて地元作家が地元の明治期の一女性を取り上げた作品として、評価すべき一書。2013/09/15
渋谷英男
0
結局、男が悪いのかな。☆32015/11/25
Gen Kato
0
あの御船千鶴子をジャーナリズム的にではなく、あくまで「小説」として描いた『不知火の女』とその後日談『福来博士の革命』からなる一冊。『不知火~』の千鶴子がうつくしく純粋であるだけに、のちの運命の過酷さがつらくなる。傑作。2014/04/07
アンビ
0
テレビで紹介されてた千鶴子と、「不知火の女」で描かれる彼女の姿の違いに驚いた。後ろの解説が面識ある教授でもっと驚いた...偶然...!