内容説明
萩尾望都、漫画家生活40周年記念!20代の頃の貴重なエッセイ27本を収録。
目次
1 のちの想いに(しなやかに、したたかに;秋の夜長のミステリー;名前というもののあれこれ;人の往来;日本語は論理的なのか;清く正しく美しい場合;作家と編集の間には;思い出を切り抜くとき)
2 風をおどるひと(モーリス・ベジャールの『近代能楽集』;ファウストの謎;バリシニコフについてのおしゃべり)
3 初めてのものに(アニメーション・ベスト5;私をビックリさせた映画『第三の男』;海色のびいどろ玉と魔女のひとりごと;お砂糖抜きの紅茶は“本当の味”がするんです;ホットコーヒーの話;少女漫画の新しい波・波・波;ホッチキス片手に手作りのアンソロジー;パリの「流れ星ホテル」に泊まったとき;ヨーロッパ、ステーキめぐりでこけた話;ピカソ美術館;お酒の話;子ギツネの話;白ケムシの話;猫マクラ物語;仕事中断の苦しみについて;性善説と性悪説の話)
私と他者
著者等紹介
萩尾望都[ハギオモト]
1949年、福岡県生まれ。1972年より「別冊少女コミック」で連載が始まった『ポーの一族』が大ヒット。1976年、『ポーの一族』で第21回小学館漫画賞を受賞。1997年、『残酷な神が支配する』で第1回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞。2006年、『バルバラ異界』で第27回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y2K☮
46
私はサラダにドレッシングを掛けない。トーストにバターを塗らない。修学旅行や部活の合宿で「何で?」と言われて面倒臭かった。著者の人生にも似た様な煩わしさが付き纏っていたらしい。若い頃のエッセイ集だが、最近の文章よりもレジェンド臭が薄くて等身大ビビッド。「トーマの心臓」が初回アンケート最下位? 連載を続ける為の編集者との暗闘は意外だけど好印象。「天才」の一言で片づけたらフェアじゃないね。職場や家族との地味な駆け引きで色々すり減らしてるのは我々と一緒。他ジャンルへの旺盛な関心、感性研磨の貪欲さも含めて努力の人。2016/08/02
さら
37
萩尾望都先生のエッセイ。面白かったです。『トーマの心臓』の裏話やミステリーの話、アニメの話、映画の話など、やっぱり感性を他分野に広げて吸収しているから素晴らしい作品が描けるのだなぁと思いました。2018/02/24
ナディ
32
初出一覧をみれば1976~1986年に書かれたもの。随所に懐かしさを感じるのは、その時代の空気を知っているからだ。そして、なんて萩尾望都先生は行動力があり、交際範囲が広く、頭がいいんだろう。としみじみ思った。2017/06/18
coco.
22
漫画家・萩尾望都氏のエッセイ。連載作品の裏話、好きな映画、本について、交遊等。寺山修司氏と接点があったとは、少々意外に感じた。私は70年代少女漫画が好きなので、女性版トキワ荘「大泉サロン」で著者が交流していた山岸凉子、木原敏江等と舞台鑑賞した話は、素直に嬉しく二倍心が躍った。著者は納得するまで映画・舞台を何度も見て構成分析するのが癖だと記述されているが、確かに生み出す作品は、話にしても画面の使い方にしても、奥行きがある。情景や感情表現が、映画的なのも腑に落ちた。今度は、少女漫画草創期の傑作も読んでみたい。2014/11/15
antoinette
21
上質な軽いお菓子のようにぺろりと頂いた。しかし「トーマの心臓」連載をかけての裏話など、歯車が一つ二つ狂っていたら、あの名作は残らなかったのかも……と思うと冷や冷や。創作のアイディアを出す参考書として清水幾多郎「論文の書き方」が挙げられているのが意外だった。「創作に対する感性の重要さとそののばし方」が書かれているというE・D・イースティ「メソード演技」という本にも興味。最後の章で「モー様は性善説なのか……」と意外に思いつつ本を閉じた。よしもとばなな氏の解説も素敵。モー様は「とてつもなく色っぽい」、らしい。2017/03/01