内容説明
少女の日の美しい友との想い出、生き別れた母との突然の邂逅、両親を亡くした不遇な姉弟を襲った悲劇…花のように可憐な少女たちを美しく繊細に綴った感傷的な物語の数数は、世代を超えて乙女たちに支持され、「女学生のバイブル」とまで呼ばれた。少女小説の元祖として、いまだ多くの読者を惹き付ける不朽の名作。
著者等紹介
吉屋信子[ヨシヤノブコ]
1896年、新潟市生まれ。10代から20代にかけて発表した『花物語』が「女学生のバイブル」と呼ばれる程の大ベストセラーとなる。その後、多彩な作品を次々と発表、流行作家として人気を博した。52年、「鬼火」で女流文学者賞、67年、菊池寛賞受賞。73年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつ
47
大正~昭和にかけて発表された少女小説の金字塔。エスと呼ばれる少女同士の強い絆が切なくも美しい文体で書かれています。各話の題名についている花の名前も、凛として清楚な少女達にとても似合っています。甘美で儚くメランコリック。女学生のバイブルと言われるのも頷けます。乙女心と大正浪漫に思い切り浸れました。「紅椿」「鬱金桜」「福寿草」が特に好き。2021/10/21
優希
33
大正時代の少女小説の金字塔といえばこの作品です。少女の日々の淡い思い出を花にのせて語っているのが美しいと感じました。乙女たちの可憐な姿が目に浮かぶようでした。昔の少女って花のように艶やかで可憐で儚げだったんですね。様々な出来事は決して幸せなことばかりではないけれど、胸を突き刺しました。少女の消えゆくような美を流麗な日本語で語る名作ですね。さぁ下巻へ!2014/07/13
佐島楓
31
感想は下巻にて。2016/10/04
いの
18
こちらは表題が気に入った本です。プラトニックで儚いですね。うっとりする表現が多く驚きました。さわると壊れそうな思いをお花とともに語っています。少女時代は短いからこそ、この時の秘めた切ない思いに魅せられるのでしょうか。時代を反映しているお話に悲しくなる場面も多かったです。「釣鐘草」「三色菫」は胸打たれました。「ダーリヤ」から好きな一節を。(ダーリヤよ。お前は華やかで美しい、しかし、私の友ではない一)。気品ある少女の真っ直ぐな思いに誇りすら感じました。じっくり読むに値する本だと私は思います。2019/02/23
ふりや
17
伴名練さんの『彼岸花』経由で気になって読みたかった本。『彼岸花』は「吉屋信子の文体を使った書簡体形式のブラッドパンク」という作品で、そこから興味が湧きました。それぞれの短編のタイトルに花の名前を冠し、女性、主に女学生同士の友愛と交流を描いた作品。美文調の美しく整った日本語で、様々な愛情の形が描かれています。同性への憧れや思慕といった感情を慎ましく、時に情熱的に描いた作品群は、発表当時女性からの圧倒的な支持を得たとのこと。自分の通っていた小学校が実名で登場したのにはびっくりしました。続けて下巻も読みます。 2022/02/07