内容説明
夏の夜届いた“少年電気曲馬団”への招待状に誘われ、ぼくはお台場へと向かっていた。しかし、遊覧船は知らぬまに“日付変更線”を超え、船で出会った紺という名の少年と二人、時をスリップしてしまう。やがてぼくらは、東京タワァ完成祝いの点灯式を見にいくのだが…単行本を大幅改稿。空中電氣式人形の秘密が、今明らかに。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
1959年、東京都生まれ。88年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mayu
76
夏の夜に届いたのは、少年電気曲馬団の招待状。パールホワイトの紙に銀ながしの封筒、見知らぬ国の紅い切手。これだけでもなんだかわくわくする。遊覧船に乗ってお台場に向かったはずが、日付変更線を超えてたどり着いたのは、東京タワー完成間近のレトロな東京。だけど、話に聞く昭和な東京とは違い、町全体にキラキラしたときめきと不思議があふれている。「三日月少年漂流記」が失った三日月少年を探す旅だとしたら、こちらは三日月少年側から見た冒険のお話。ノスタルジックと幻想の長野さんワールドを楽しんだ。2021/04/29
橘
14
わたしには秘密は解けることなく読み終えましたが、好きな空気でした。附録で少しわかった気がしますが。三日月少年、不思議な自動人形です。昔の東京の描写も素敵でした。2014/09/03
橘
12
自動人形である三日月少年の世界は好きです。最先端でいて、レトロ。ミステリアスな「かばんの秘密篇」が好みでした。2021/05/21
芙蓉
9
再読。中学生くらいに読んだ。初期の長野まゆみ作品。三日月少年という自動人形たちのお話。《チョコレエトボンボンの真の効能を知るにはまだ数年早いと申し上げておきましょう。自らの口に入れているうちは、ひよっこというわけであります》2016/06/17
sui
8
以前に読んだ「三日月少年漂流記」が「天体議会」の前衣に当るなら、さしずめ今作はその「漂流記」の改造版のようでもありました。「改造版・少年アリス」がオリジナルより現実味が濃かったのと似ていて、「漂流記」よりもリアリティ感が強めに感じます。まるで本物そっくりの自動人形である三日月少年は、その存在こそファンタジーなのに、本作最後に収録の附録という名の物語を読むと、取り扱い方法や生態に至るまで事細かに設定がなされていて、長野さん本領発揮という具合。ただ「漂流記」よりも難しかった汗。附録が一番面白く読めたかもです笑2023/01/24