内容説明
きっとあしたはもっといいことがある。みんながそう信じていた時代の子どものお話です(長野まゆみ)―21世紀になるまであと31年。その年、マボちゃんは11歳。チロリアンテープ、フィンガービスケット、インコのピッピ…小さくも愛おしいコドモノクニから、外の世界を見つめるマボちゃんの日々を描く、なつかしさあふれる連作小説集。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
1959年、東京都生まれ。88年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ダリヤ
19
おんなのこのせかいにちらりちらりと少年があらわれるかんじで、めずらしいせかいなきがする。いまとはちがうおんなのこたちがむちゅうになったりあそんだりするせかいにうっとりしながら、わたしたちはなくしたんぢゃなくて、みつけようとしていないだけなのではないだろうかとかんがえてしまったり。ながのさんのちょっとしたものを美しくゆめある表現にすることばたちがやっぱりすき。わたしもインコとくらしているけれど、彼のにおいがフリージアの花のにおいというなんてしらなかった。わたしからも、Qちゃんたのしい時間をありがとう。2014/08/17
冬見
18
戦争から25年、21世紀が来るまであと31年のとき、マボちゃんは11歳だった。私が生まれるずっと昔の話。分からない言葉を調べながら。桜の園の読み合わせをして遊ぶだなんて洒落てる。ブラウスの襟元の刺繍や徽章の飾りとか、私の学生時代にもあったら楽しかっただろうなあ、と思ったけれど、実際そうだったらそれはそれで面倒に感じていたかも。お裁縫や刺繍が身近ではない世界にいたから。でも、校則ギリギリの流行りの中で自分らしい工夫を凝らしたいっていう心理は今も昔も変わらないみたい。セイちゃんの話も好き。2019/01/23
橘
14
面白かったです。キラキラしていて微笑ましく、時代は違いますが、子どもの頃を懐かしく思い出しました。子ども特有の残酷さや、いろいろな気持ちも伝わってきました。2014/12/13
あんこ
14
子供時代を描いたエッセイのようなのに、思い出して書くというよりは、小説のようにその場にいて本当にまぼちゃんが語りかけてくるような雰囲気でした。イラストが素敵だなあと思っていたらご自身で描かれたのですね。きっと21世紀の今より物がないはずなのに、こうして次々と素敵なものを創り出していたんだなあと遠い過去のまぼちゃんに思いを馳せました。益々、長野まゆみさんの作品に興味が湧きました。2013/09/06
たくのみ
12
アントルメ、遠足、少女マンガ、小学校の日々…。著者自身による可愛いイラスト表紙と野鳥図鑑。手乗りインコのピッピと、九官鳥のQちゃん。どこにでもありそうな、少女から見た昭和の心象風景が繰り広げられる。これ、イラスト集みたいな感じで作ったら、もっと楽しいのになぁ。2015/07/14