内容説明
サラマンドラや一角獣、タロッコカード、宝石など、著者の得意とするテーマを満載する論考八編からなる第一部と、これまで自らタブーとしてきた身辺雑記や回想を「望遠鏡をさかさまにして世界を眺める」遠近法で描いたエッセイ群からなる第二部。過去と現在という時間を交差させて織り上げた魅惑の作品集。
目次
サラマンドラよ、燃えよ
一角獣について
タロッコの謎
宝石の伝説
『狩猟の書』について
盗みのエロティシズム
態位について
目の散歩
ツェッペリン幻想
私の昆虫記
ハーゲンベックの思い出
カフス・ボタンのこと
「コドモノクニ」のこと
ドラゴン雑感
少年冒険小説と私
玩物抄
アポロとウェヌス
蠅とエメラルド
思い出と現在
エメラルド、五月の露
花火、七月の夜
ガラス幻想行
糸車から燭台まで
著者等紹介
澁澤龍彦[シブサワタツヒコ]
1928‐87年。東京生まれ。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かりあ
5
そんなに夢中になるほど面白いということはなかったけど、いつか内容を忘れ果てたときには再読してみようと思っている。タロッコカードと宝石の話が一番好き。2009/12/22
ぐうぐう
5
タイトルが抜群にいい! 世界の博物誌的第一部と、澁澤自身の子供時代を中心とした博物誌となる第二部。どちらにも共通するのは、ノスタルジーという視点だ。「もしかしたら、ノスタルジアこそ、あらゆる芸術の源泉なのである。もしかしたら、あらゆる芸術が過去を向いているのである」。2008/12/27
黙劇
3
非現実的ほど現実的なものがないように、視点とは凄いものである。私たちが当たり前に見ているものは、誰かからすれば何らかの由縁があり、意味がある。それはないと思えばないもので、あるとすればあるものにすぎない、浮遊した価値観というやつだ。しかしそれを引き出したり、こねくりまわしてみたり、破壊してみたり、そういうことができるのは生きている人間の特権かなぁなんて思った。それは自分の思い出も然り。2014/08/21
双海(ふたみ)
3
「ノスタルジアとは、まことに阿片のようなものだ。それは言おうようなく甘美で、しかも物悲しく、ひとを酔わせる働きをもっている。」 「戦後の民主教育は、ある点から眺めると、ガラス張りの温室で清浄野菜を栽培しているようなものであろう。温室のガラスをたたき破って、外の空気のなかに子供たちをひっぱり出すべきではないだろうか。」2013/04/12
うち子
2
妹に「そんな少年時代は嘘である」と後に笑われたのはこの本の中のエッセイだったか。新装版初版をアスタルテ書房にて購入。2015/08/02