内容説明
偶然大手製薬会社の会長と知り合った広告マンの佐伯はその場で殺人事件と出くわすが、奇妙にも会長は何事もなかったかのようにふるまった。新薬開発の鍵となるムラサキイトユリの謎を探るうち、これが連続殺人であることに気が付いた佐伯は、百合に導かれ古代の神々の世界へと引き込まれていく。巨匠の傑作伝奇ミステリー。
著者等紹介
半村良[ハンムラリョウ]
1933‐2002年。東京生まれ。都立両国高校卒。多くの職業を転々とし、1962年「収穫」で「SFマガジン」のコンテストに入選。『石の血脈』で星雲賞、『産霊山秘録』で泉鏡花賞、『雨やどり』で直木賞、『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞、『かかし長屋』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
48
初めて読んだのは10代の頃。どちらかというと楽しめなかった記憶を引きずりつつ再読。いやいや面白いですよ。主人公が静かに毒されていく(覚醒していくというのが正しいのかもしれないが)様子など、じわじわと進行するストーリーがたまりませんなあ。ただ、若い頃に楽しめなかったことも頷ける。半村作品の多くが人生経験と照らし合わせながら読むとより楽しめる作品であるからだと改めて思う。2012/02/03
史
0
しばらく積読しといたけど、読み始めたら面白くてハマって一気読み。最初は企業もの、殺人事件が起こり、探偵ものっぽくなり、神話も絡んできて、最初の方の小さな話題が、あとになってあー、あれ伏線だったのかとなり、パズルのピースがガシガシハマっていく感じ。前半、コネってこうやって作るのかーとノホホンと読んでいたけど、後半は信じてたのに騙された!と何度も思う。人間って怖いわー。というか自分の騙されやすさが怖いわー。2016/09/13
庵木瓜
0
JRが国鉄と表現さてていて古いと認識、人物像などもちょっと古臭いんだけど内容は面白い。導入はビジネスのいざこざ?かと思い少々気乗りしなかったが途中から殺人事件や神話を絡めたミステリアスな展開にどんどん引き込まれて行った。着地点がうまくカモフラージュされていて、ギリギリまで興味を引っ張られる。少々余談めいた内容も多いのでそういうのが苦手じゃなければ楽しめる作品かな。2013/12/22
さりぱぱ
0
★★★☆☆2011/03/16
nur1202
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推理小説っぽいけれど、最終的には伝奇小説。 古い作品なので、街の風景とかよく読むと現代とは相当に違うんだけれど、あまり古さを感じずに読むことができました。 懐かしの昭和、って感じ。 終盤を怒濤の展開と読むか、慌ててまとめようとしていると読むかで評価は変わるんだろうなぁ。 バブル期ぐらいに会社員をしていた人にとっては、ぞっとする話かもしれません。 最近になって復刊したのも一部うなずけますね。 2017/10/21