内容説明
純文学の守護神にして永遠の「新人」、笙野頼子。デビュー後暗黒の十年を経て、立て続けに受けた三つの栄光―野間文芸新人賞受賞作「なにもしてない」、三島由紀夫賞受賞作「二百回忌」、芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」を一挙収録。いまだ破られざるその「記録」を超え、限りなく変容する作家の栄光の軌跡。
著者等紹介
笙野頼子[ショウノヨリコ]
1956年、三重県生まれ。81年「極楽」で第24回群像新人文学賞を受賞し、デビュー。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞を受賞。94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、「タイムスリップ・コンビナート」で芥川賞を受賞。2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞を受賞。05年『金毘羅』で伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
104
笙野頼子が書く小説は私には少し難解だった。 純文学の旗手といわれた時代もあったようだが、その突飛な発想には正直ついていけなかった。「なにもしてない」は私小説なのだろうか。「タイムスリップ・コンビナート」は安部公房を想起させる場面設定があるのだが・・2010/08/14
はっせー
93
久しぶりに1度読んだだけだとわからない本に出会えた!この本は新人賞3つそれぞれ受賞した作品を1つにまとめた本になっている。いわば作家さんが評価して受賞した一流クラスの作品をまとめた本になる。2百回忌は面白いながらなかなか考えさせられる本になっている。タイムマシーンコンビナートはマグロに恋する主人公のお話。つかみにくい作品であるがマグロは一種のメタファーとなっているのかなと感じた。なにもしていないは一番掴めなかった。再度寝かせてみて読むしかないなと感じた。この本はまさに大人のウィスキーをロックで飲む感じ!2022/06/17
おいしゃん
77
【芥川賞作品】権威ある三賞の作品がセットになったお得な一冊。著者初読みであったが、正直読み終えてぐったり。マグロに恋した主人公が、中野から鶴見までの道中を、次元を超えたり、カタカナ交じりになりつつ、とにかく細かく記録された芥川賞作品。200年分の、一族の死者が一堂に会するイベントを描いた三島由紀夫賞作品。そして謎の湿疹をフォーカスし、その様子をひたすらグロテスクに描いた新人賞作品。これでもか、と迫りくるこれらの世界観を受け容れようとすれば、そりゃ疲れるわけだ。でもちょっぴり癖になりそうな世界観でもある。2015/07/05
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
56
三行読んで背中に電撃が走った。リュウマチかもしれない。かもしれないがきっと違う。きっとこの人はマチダコー(敬称)を産んだお方ではないだろうか。マチダコーは神である。神を産んだということはマリア様なのかもしれないと思った。あるいは仏教だったりすればブッダの母的な。しかしお釈迦様のおかん、つまり御母堂のことはよく知らない。で、ウィッキーさんに訊いてみると、摩耶夫人というらしい。デビ夫人とは違う。勉強になった。賢くなった。それでも笙野頼子の書いていることは殆んどよく解らない。わからないけれど、とにかく凄い。2017/03/12
サンタマリア
50
文体が合わなかった。全然頭に入ってこない。以下短編ごとの感想。「タイムスリップコンビナート」全然分からなかった。気が向いたら読み直そうかなぁ。「二百回忌」めちゃくちゃ面白かった。真顔でボケる感じが最高に好み。「なにもしてない」イマイチ良さが分からなかった。2021/04/28