内容説明
死ぬ自由くらいは自分で創造しよう!―死の音楽、死神占い、死と賭博等の考察から、自殺機械の作り方、上手な遺書の書き方、動機の立て方、場所の選び方、自殺のライセンスまで、死と真面目に戯れ、方法化し、受け身の死を排し、“充分に生きるために”死の確固たる思想を打ち立てることを軽妙な筆致で提唱する、寺山版自殺マニュアル。
目次
死についてのノート(死の曲;マホメット殺人;死神占い ほか)
自殺学入門(自殺機械の作り方;上手な遺書の書き方;動機も必要だ ほか)
死についての語録
家出/死(三人の家出ハイティーンの手記;伊良皆恵利子;松崎誓志 ほか)
著者等紹介
寺山修司[テラヤマシュウジ]
1936‐83年。青森県生まれ。詩人、劇作家。早稲田大学中退。54年、『チェホフ祭』で「短歌研究」新人賞を受賞。67年、演劇実験室「天井棧敷」を設立、演劇の変革のリーダーとなる。75年、映画「田園に死す」で芸術選奨新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青蓮
74
記念すべき333冊目。再読です。自殺学入門とありますが、自殺を奨励している本ではなく、自殺の作法を説いている本という感じ。自殺の手段、遺書、場所、一緒に死ぬパートナー。死ぬ自由くらいは自分で創造しよう、という。そこで考えてみる。自分が死ぬときは大好きなアーティストの曲をBGMに苦痛を感じることなく、一瞬にして死にたい。と、色々考えても結局自分の死は体験できないのだが。2015/06/09
かおりんご
38
自殺について、まじめに書かれているのが面白い。自殺機械を作り、遺書を書き、死に場所を求める・・・でも、自殺するにもライセンスが必要で、全くの幸せ者しか自殺を決行してはならないそうです。会社経営者の自殺は、自殺ではなく社会や政治による他殺。心が病んだ人の自殺は、病死扱い。真の自殺とはなんぞやと、寺山修司が熱く語っています。読んでいるうちに、自殺がばかばかしくなることこの上なし。2014/09/14
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19
誰しも一度は自殺について考えたことがあるのではないだろうか。自殺学入門では死についてのノートから始まり自殺の方法や手順までもが記されている。マイナスな物としてではなく“死はもう一つの生へと向かう事”として語られている。自殺率の高い日本であるが本当の意味での自殺を行った者、自殺のライセンスを持った者はどれほどいるのだろう。そして作中にあった「じぶんはたにんのぶぶんにすぎなくなってしまっているのです。じぶんを殺すことは、おおかれすくなかれ、たにんをきずつけたり、ときには殺すことになる」という言葉が印象的でした2013/03/04
蘭奢待
18
自殺の方法論だが逆説的に生を説いている。自殺とは本来美しいものであるが、失恋、失敗、金欠、病気などを悲観しての自殺は自殺でなく他殺だという話し。うなづける。過去の有名な自殺をまとめており、その遺書には打たれる。 たとえ明日で世界が滅ぶとしても、今日私は種子をまくであろう。2018/11/03
ちぇけら
18
自分はいつか死んでしまうのだと気づいたときには世界は真っ暗だった、底に沈んだ庭の花が美しかった、白く光っていた。死とはこんな風でありたいと涙を流し、心臓はとくとくと脈うっている。あぁと叫んでみても響くものはない、虚構、生きていることなんて、死んでいくことなんて、空っぽなんだと言ってきみはどこかへ行ってしまった。ぼくは生きるよ、そして死ぬよ。星の散るように草木が露に濡れるように夜が明けるように子どもたちの合唱のように死ぬよ。生きていることって素晴らしいんだね。2018/06/19