内容説明
“ミンクを収容施設から連れ出せ!”シュイは、主治医ソレンセンからの指令を受け施設に侵入するが、襲撃を受け格闘するうち、傍らで何者かが燐光を起こす…徹底的に監視され孤独を深めゆくシュイの姿を描く巨篇・第二部。謎の物質“ゼル”をめぐる争いは混迷を深め、少年たちの運命の歯車が回りだす。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京都生まれ。88年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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橘
15
シュイの孤独が伝わってきます。P.U.S.や、描かれる世界が少しずつ少しずつわかってきました。レトはどうなったのだろう。最後にイオが。続きも楽しみです。2015/05/04
冬見
14
特殊な生殖機能と多元的な性別シフトを持つ種族で構成される夏星。時間は少し遡りシュイ視点。ここから先はただただシュイが理不尽な目に遭い続け、精神的にも肉体的にも磨耗してゆく。まだ序ノ口。2016/12/24
まゆら
12
新世界二巻目。ぼんやりと全体像が見えてくる二巻目、身体的な構造の違いで決まる階級差や遺伝的疾患により逃れられない運命を半ば諦めるように受け入れる少年たち。全体的に漂う世紀末感…。配給制の食糧や闇市などまるで戦時中のような暗鬱な空気が流れるのに、あくまで淡々とした文章でさっぱり進んで行きます。このまま三巻目へ。2014/07/08
橘
7
ここまで階級差が激しく、支配するものされるものが残酷な程きっちりあるのは、そして階級が下の種族?は好きに扱っていい…というのはかなりのディストピア。2021/01/21
iuba
7
シュイは受難の少年。こういった、生まれながらにしてもち、抗えない様々な束縛・弾圧に耐えて顎を引く年若い少年の姿、というモチーフは多くの手によって描き出されている。長野さんもまたそういった人物の造形にすぐれ、周囲を取り囲む閉塞的な世界観を決して多くは語らないながらも構築している。謎は多くありながら、雰囲気が満点で、好きな人にはたまらないだろうな。ジャウの存在が一番きにかかる。取り急ぎ次巻へ。2014/07/27