内容説明
どこにでもいる無邪気で平凡な女子大生、一実。自殺した親友の四十九日の翌日、眠りから目覚めると、彼女の右足の親指はペニスになっていた。突然現れた親指Pに困惑し、揺れ動く人々。そして無垢だった一実にも徐々に変化が訪れ―。驚くべき奇想とユーモラスな語り口で大ベストセラーとなったあの衝撃の作品が、待望の新装版に。
著者等紹介
松浦理英子[マツウラリエコ]
1958年、愛媛県生まれ。85年『葬儀の日』で第47回文学界新人賞を受賞し、デビュー。94年、『親指Pの修業時代』で女流文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アマニョッキ
67
やばい。どえらい。面白すぎてのけぞる。ある日突然右足の親指がペニスになってしまった女性の、いわば自己開拓物語。そう、親指PのPはペニスのP。性別なんてカテゴリーがそもそも必要なのか、人間のアイデンティティーを決定するものはなんなのか。LGBTなんて言葉もなかったであろう20年以上前の松浦さんの脳内に、まだまだ現代は置いていかれてる感じ。ちなみに読んだのはこの表紙ではなくひとつ前のやつ。そっちのほうが好き。最後に胡散臭げな新興宗教団体も登場してきて、下巻も期待高まる一方!やばい。ノンストップわくわく。2018/02/09
ちょこまーぶる
48
何とも不思議な世界に誘ってくれる一冊でした。女性の右足の親指が男性器になってしまって、普通の男性と同様な機能をもっていているという話なんですが、そんな身体の変調を持つ女性が様々な恋愛模様を経験し葛藤していくというような上巻でした。彼女の身体の特徴を知ってからの行動に変化を見せる人などもいたりして、、読み進めていくにしたがって、この本はある種の問題をしっかりと問題提起をしている気がして、流し読みはできない感じがヒシヒシと伝わってきました。それにしても、性描写場面が多いので、通勤電車で読みには向いてないかも。2015/02/09
TATA
31
親指Pってそういう意味なんだ。設定があまりにどぎついのだけどそれを乗り越えればスンナリと作品に入っていけるこの摩訶不思議感(笑)。日常の外側、裏側にある性愛に触れながら徐々に自分を成長させていく主人公。あーなるほど、これは広大なジェンダーの地平を語りながらの修行なんだ。と考えればあまりに時代を先取りした作品だったのかな。でも、これ映画化はムリだよね。2019/11/05
さゆ
16
松浦さんの本は何年か前に『犬身』を読んだことがある。その時も思ったけれど、読みやすい語り口の割には中身は壮絶。ことに「フラワーショー」に同行するようになってからは私の想像を絶する壮絶さ。下巻まではたして辿りつけるだろうか・・・2010/11/30
葵
15
読友さんのレビューでめちゃくちゃ気になって取り寄せた本。右足の親指が突然Pになってしまった女の子が、性について、恋愛について、友情について、様々な疑問をもちつつ、それに拘泥せず激動の環境に身を任せながら成長していく物語である。私は、決してこの感想文の中で、Pについて、Pがペニスを指すのだとは言わないつもりだ。あ、言っちゃった。足の親指が突然ペニスになった女性だなんて、なんでこんな発想ができるんだろう?作者は頭の中どうなっちゃってんの?もうその才能に嫉妬。このまま下巻へGO!!2018/03/17