内容説明
人生を語りつくしてさらに“その先”を見通す、兼好の現代性。花や樹木、奇談、色恋、友情、仏教、老病死…さまざまな話柄のなかに人生の真実と知恵をたたきこんだ変人兼好の精髄を、分かり易い現代文訳と精密な註・解説で明らかにする作家橋本治の筆づかいに奇才田中靖夫の傑作イラストが応える、新古典絵巻の下巻。
目次
真乗院に盛親僧都とて
延政門院いときなくおはしましける時
書写の上人は
賎しげなるもの
世に語り伝ふる事
つれづれわぶる人は
世の覚え花やかなるあたりに
何事も入りたたぬさましたるぞよき
人ごとに
屏風・障子などの絵も文字も〔ほか〕
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年、東京生まれ。東大文学部卒業。『桃尻娘』で作家としてデビュー
田中靖夫[タナカヤスオ]
1941年、茨城県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、カーデザイナーを経てイラストレーターとして独立
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感想・レビュー
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優希
76
第60段から第243段まで。上巻に引き続き面白かったです。様々な話題に変人っぷりがこもっているようでした。兼好法師のキャラが更にパワーアップしているのが笑えます。楽しい徒然草でした。2016/03/29
ステビア
20
所々に顔を出す女性蔑視がすごい。人生訓として今でも通用するところもあり。2021/01/03
犬養三千代
10
橋本治さんはやめられない! 絵の面白さもさりながら註には、橋本さんの噛み砕いた知識·知見満載です。 二つの字 牛の角の字 まっすぐ字 まがった字ってね 君を思うの 夜も涼し 寝覚めの刈穂 手枕も 真袖も秋に へだてなき風 恋の歌と借金申し込みの歌。 徒然草も奥が深い。2019/04/14
ぱすこ
5
「橋本治」意訳調、実はくどくて苦手。にもかかわらず、上下巻を面白く読めた。これは、作者の、兼好法師についての解釈がしっくりきたからだと思う。ちなみに徒然草では、私は「仁和寺にある法師」がかなり好きです。かわいらしい。幼い頃によくおばあちゃんに石清水八幡宮に連れられて行ってたという京都育ちの友人が、子供の頃に初めてこの話を読んだとき「このお坊さん、アホちゃうかとおもた〜」って言ってたのも読むたび思い出す。2016/05/08
まっちゃん2
4
原文は段によってわかりやすかったり、さっぱりなものと違いが大きい。現代語訳と、著者の注釈がときに原文の数十倍の文字数でつづられる。巨人橋本治の徒然草ワールドが広がる。読めば読むほど味わい深い。2020/03/31