感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
24
☆☆☆☆ 成就することのない恋愛。それゆえにせつなさは増す。投獄、暁子の結婚、暁子の夫の死、戦争への招集。いくたびも二人は隔たれる。それはもう運命と言っても良い。最後に運命はその残酷さを見せて、二人を永遠に分かつ。2020/10/15
ken_sakura
4
惚れる場面の「その人の足に踏まれたい」はひっくり返った(笑)。著者が書きたかったのは相手を想う美しい恋愛小説だったと思うのですが、とんでもなく男に都合の良い恋愛小説です(褒めてます)時代の違いですかね。昭和21年ごろに出た小説とのこと。パンチ力がありました。解説もグルです。薦めて頂いたおもしろ本棚の先生に感謝。2015/09/25
みや
3
昭和21年に婦人誌に連載された恋愛小説。こんなのも書いていたとは…。慕情の吐露のクドさには閉口だが、豊潤な表現は堪能できる。特に、ダムの描写に圧倒的な筆力を感じた。思索の深化と自己の確立、他者との間に意図せず生じる軋轢といったテーマが通奏するのは高見氏らしい。ドラマチックなラストシーンには「んなわけあるかい!」と思わず突っ込みそうになった。2019/08/29
なおぱんだ
0
現代ではあまり考えられないような純粋でプラトニックな恋愛に固執する男が語る、最愛の女性の追想を描いた作品です。お互いの想いが成就されないまま月日が流れていく中で、非情なまでの運命のいたずらに翻弄される男女の普遍の愛を描いています。女の想いに気づきながらも自分の愛情をあえて言葉にせずに、友人の一人として冷静に振る舞う男の姿は、相手を傷つけまいとする臆病さだけでは語りきれない一途さが感じられます。2013/12/04