内容説明
小金井良精の解剖学の関心は、人類学、考古学の方へも及び、退官後も先住民族、古事記の研究などに尽力し、晩年まで大学に通った。さまざまな出会いも広がり、娘婿星一、考古学者大山柏、政府の黒幕杉山茂丸、そして名もない市井の人々との交情を大切に、戦争へと向かう明治・大正・昭和の歴史を、時代に翻弄されずに誠実に生きた。著者畢生の大河小説。
著者等紹介
星新一[ホシシンイチ]
1926年、東京生れ。東京大学農学部卒。ショート・ショートという分野を開拓したSF作家の第一人者。父・星一や祖父・小金井良精とその時代を描いた伝記文学なども執筆。1997年逝去
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
45
後半には星さんが生まれたことも書かれています。祖父のことが中心となっているのでさまざまな人などの文献や日記を参考にしておられます。ちょっと中途半端な感じになってはいると思いますが当時の社会状況などがよくわかります。資料は資料のままで出されて、星さんが見た祖父や両親の状況を書かれたほうが読むほうとしてはいいのではないかと感じました。2015/02/11
kawa
29
解剖学・人類学・考古学の研究者人生を全うした小金井氏。下巻は、学者として業績や研究生活を支える周囲の人々に対する気配りの高さが印象的に描かれる。ご本人、著者の父・星一氏、著者、3人の当時の日記の並列的な紹介が多い。よくもそれらが保管されていたものだと感心する一方、上巻に比べるとやや退屈感も残る。2023/01/29
xkxxxxk
2
星新一のおじいちゃんの話下巻。このボリュームの本を飽きず好ましく読めるのは、一つにSSよろしく細分化された章立てとすっきりした文章、そしてもう一つ祖父良精の人柄に拠るところが大きい。生涯現役で東大医学部教授として国内外に活躍し、それに付随した広範な交遊関係、しかし一方で家族や友人との時間も大切にする。実に羨ましく幸福な人生であり、星にとって自慢の祖父なんだろうなと。2015/10/30
雪町
1
主に小金井良精の後半生についての話。日記の羅列になっている部分は読みにくかった。婿の星一の製薬会社をめぐるゴタゴタと、公爵で軍人でありながら考古学者になった大山柏の話が興味深かった。小金井良精の晩年の話は、研究への愛着や周囲との繋がりが感じられて感慨深かった。2016/04/07
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
1
2004年 6月20日 発行 初版 2014/04/12
-
- 電子書籍
- 不全世界の創造手 朝日文庫