内容説明
芥川龍之介も、大正期の代表的名随筆集『退屈読本』を書いた佐藤春夫の人気には、当時かなわなかった。その精神は本書の名訳にもよく表われている。一方、合理的で論理的でありながら、皮肉やユーモアに満ちあふれていて、誰もが楽しめるこの『徒然草』は、きわめて現代的な生活感覚と美的感覚を喚起させてくれ、精神的な糧とヒントを与えてくれるまさに名著。
著者等紹介
吉田兼好[ヨシダケンコウ]
弘安6年頃―観応3年頃(1283年頃―1352年頃)。鎌倉後期から南北朝時代の歌人、随筆作者。二条為世門下で和歌を学び、四天王と称せられ、『続千載和歌集』などに入集される。『徒然草』は1330年頃の傑作随筆
佐藤春夫[サトウハルオ]
1892―1964年。詩人、小説家、評論家。和歌山県生まれ。森鴎外、永井荷風に師事し慶大予科文学部に入学して堀口大学と詩友になる。小説『田園の憂鬱』『都会の憂鬱』のほか、処女詩集『殉情詩集』、中国詩人名媛の訳詩集『車塵集』、随筆『退屈読本』など
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感想・レビュー
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ジュンコ
16
初めて全文読んだ。共感できることも、できないことも。でも、大事なことって、今も昔もそんなに変わらないんだな。佐藤春夫訳は読みやすくておもしろかった。原文でも読みたい。2016/05/09
色々甚平
14
読む前だと堅苦しそうに思われる作品だが、実際はメモ帳感覚で今のツイッターくらいに思って読めるくらいだった。仙人が山から降りてきた時、農家の女性のふとももを見かけたら通力を失った話やら、何かあった後で怒った文章もあり、そこまで肩肘張らずに読める内容。当時の美徳感覚に触れる話もあり、今の日本の感覚にもまだ繋がる部分を感じられて、どこかホッとすることもできた。ただ、本文にここの話はどうせ誰にも見られやしないし、と書かれているだけにちょっと悪い気持ちが芽生えてしまう。兼好さんごめんな。2017/02/20
たー
14
あまり説教じみてなくてユーモアがあって好きだ。それにしても昔から人って変わらないものですね。2012/03/06
翡翠
13
人はこの様がよい、との美学に貫かれた確信。賛同すること多し。兼好の厳しいけれど、これは許せる、といった懐の深さ、優しさを感じるところがよい。2021/12/03
ジュンコ
11
再読。年ごろ思ひつること果たしはべりぬ。2017/05/05