内容説明
波瀾万丈の物語、構想の雄大さ、雄渾華麗な文体、因果応報と勧善懲悪―間違いなく、わが国伝奇小説の白眉である傑作長編を、やはり伝奇小説の名手白井喬二が最も読みやすい名抄訳でまとめた現代語訳版。里見家の臣、八犬士が運命の糸に翻弄されながら不思議な因縁で結びついてゆく。その壮大なスケールを失うことなく、簡潔な上下巻で面白さを堪能できる。
著者等紹介
曲亭馬琴[キョクテイバキン]
明和4年‐嘉永元年(1767‐1848年)。江戸時代後期の読本、黄表紙、合巻作者。本姓は滝沢。わが国最大の伝奇小説『南総里見八犬伝』の他、『椿説弓張月』『皿皿郷談』『近世説美少年録』などの読本が有名
白井喬二[シライキョウジ]
1889‐1980年。小説家。横浜市生まれ。大正9年に発表した時代物の推理小説『怪建築十二段返し』で一躍注目され、『新撰組』や大作『富士に立つ影』などによって大衆文学草創期の推進力となる。大衆作家の団体「二十一日会」を結成して『大衆文芸』を発刊した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字の旅遊人
39
かつて薬師丸ひろ子主演の映画があった。しかし当時も真面目なひねくれ少年だった僕は、原作も知らずに映画が観られるか!と流行を無視。いや、その後も原作未読の映画なんて観まくってるだろ。と思いながら、何故か「八犬伝」は居酒屋「八剣伝」にしかつながらなかった。リライトものではなく、訳を読みたいなどというこだわりもまた、何故か「八犬伝」には適用された。そしてついに、ついに。この河出文庫版は、上下二巻構成で買い求めやすかった。注釈込み604ページと厚いので、通勤の友には向かず。第六集巻の五第六十一回まで。2021/05/23
❁Lei❁
26
南総(千葉県)の武将・里見義実の娘が、八房という犬と結婚することになり、その腹から飛び出した八つの珠がそれぞれ八犬士として成長を遂げる物語。その一人である犬塚信乃が、同じく犬士の額蔵と出会い、義兄弟の契りを結ぶシーンが最も感動的でした(ちなみにここまでで200ページ!)。彼らは残りの犬士を探し出し、里見家に結集することを誓います。その道程で、ずる賢い女性の船虫や、人間をたぶらかす化け猫といった悪党との死闘が繰り広げられ、次々と苦難を乗り越えます。美貌と知恵を持つ犬坂毛野の登場に胸を躍らせたところで下巻へ。2024/04/10
しゅう
24
昨年末に昔の映画を懐かしく思い観たのですが、原作は知らないな、と、現代語訳を探してこちらを購入。映画とずいぶん違う!登場人物も多く、名前も読みにくくて混乱。読了に時間がかかりました。が、面白い!戦闘場面も、不思議な現象も、さまざまな出会いも、ワクワクして読めました。江戸時代に書かれた物、人の想像力は時代など関係ないのだと思わされました。下巻が楽しみです。2021/03/06
イノ
19
170年前の日本の伝記小説。 中盤までは面白く読めていたが、登場人物が多く複雑に絡み合ってきて終盤は何が何やら・・・。 メモは必須。 しかし個々のエピソードで見れば義理や人情、出てきた八犬士の強さ、個性的なキャラなどやはり面白い。 不安を抱えて下巻へ2016/06/15
D4C
14
物語は、発端部から始まり、八犬士それぞれの登場まで。不思議な因縁、縁、そして、必然的偶然から、八犬士達の物語が展開していく。現代語訳と言っても、若干固めな日本語ですが、物語の面白さもあって、全く気になりません。ただ、時代が時代のため、名前が非常に読みにくく、毎回ルビを振ってもらいたいくらい、読めないものは本当に読めません(笑 全体の半分を読み終わった段階でも、八犬士が集うどころか、行方が分からないもの、ほぼ八犬士であると思われるものの、確証が無い者等、物語的にはまだまだ。でも、文句なしに面白いです。2015/09/22