内容説明
桃子は大学に入りたての19歳。小説家のおばさんのマンションに同居中。口うるさいおふくろや、同性の愛人と暮らすキザな父親にもめげず、親友の花子とあたしの長閑な「少女小説」は、幸福な結末を迎えるか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
103
「目白4部作」の3作目。これら一連の小説群には、やはり目白というリージョナルなトポスが必要だったのだろう。本編は猫のタマと、夏之、及び紅梅荘などを通して前作との連続性を持っている。物語内の第2の語り手(書き手)である「おばさん」も前作に顔を出していた。また、本編は作者によれば「少女小説」ということなのだ。とはいっても、主人公の桃子は小説中で既に19歳から20歳であり、少女というにはいささか薹が立っていたりするのだが、著者にとってそんなことは重々承知の上なのだろう。これまた、小説を読む楽しみに満ちた小説だ。2013/10/28
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
100
☆4.5 前に読んだ『タマや』の続編になるのか 前編?になるのか一連の作品である。 『タマや』に登場した若い娘ふたりの長閑な暮らしぶりが描かれている。 金井美恵子面白いではないか。2021/02/26
あんこ
32
典型的な少女小説というには捻くれているけど、他に分類の仕様がない、なんともあざとい小説。可愛さと、捻くれと、サブカルっぽさに思わず惹かれてしまいました。桃ちゃんと母親=「監視する人々」のやりとりや、学校や他の人(あるいは異性)に対するこのかんじ、わかるなあとも思って読みました。斜め上から畳み掛けるように桃ちゃんが語る独特の日常感がツボにはまりました(あざといのだけど)。2014/12/18
ほほほ
22
「夕食に食べるものを散歩がてら高田馬場まで買いに行くことにして神田川を渡り、裏道からパール座の横に出ると、ちょうどパール座から出て来た、おばさんの友達のカメラマンの夏之さんとばったり顔をあわせ、久しぶりだねえ、と言うので、お茶でもおごってくれる?とアイサツすると、お茶だけだよ、と言うので道を渡って喫茶店に入ることになった」著者曰く、少女小説。舞台は東京目白80年代。大学進学にあたり、小説家の叔母さんの家に下宿することになった19歳の女の子のモラトリアムとはいえ優雅な日々。久々の再読。やっぱり大好きな小説。2014/04/19
あ げ こ
17
何度読んでも楽しくて、嬉しくなってしまう。桃花コンビと一緒に遊び回ったり、おばさんとおしゃべりをしたり、意味もなく笑って、〈淡いコハク色の泡立つシャンパンのグラスを、ろうそくの炎にかざして眺めながら、こうやって、シャンパンを飲みながらなんとなく、ぼんやり一生がおくれたらなあ〉などと考えみたり、〈グウグウ、グウグウ、十六時間も〉眠れてしまう〈自己充足的にうとうと〉するばかりの日々を送ったりと、『小春日和 インディアン・サマー』を読むことは、本当に楽しいことなのだ。けれど当然、それはただ楽しいだけではなくて、2021/10/22