感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
12
村上春樹、井上ひさし、丸谷才一が「双子の宝探し」という同じ物語講座をなぞる。その同一性は「物語」に対する疑いのなさを示しており、「他者」とのコミュニケーションに開かれたものではない。ジャンル起源を持たない私生児としての「小説」は、共同体から外れていく装置として機能するものである。故に大江健三郎や中上健次や後藤明生の小説が肯定される。ここでの著書の論理は代理表象批判であり、天皇性批判である。時代性、政治性に強く紐づいた文芸批評。では、蓮實の書き方自体が双子の宝探しめいている事態をどのように処理するべきか。2023/02/14
なっぢ@断捨離実行中
8
俎上に載せられた作品群からそれとなく察せる(つかスガちんのインタビューで白状してる)けど、これ実は(昭和)天皇論なんですよね。その名を一度も出さずに論じきってしまうハスミン大先生マジパネエとしか言いようがないんだけど、平成の世にこの戦略は通用しないよなとも思ったり。だって自称リベラルがベタな天皇主義者になるご時世ですから。自称保守が性懲りもなく繰り返す天皇利用は言わずもがな。その意味で本書でなされる大先生の迂遠な指摘は未だに(というか永久に)有効。本邦において天皇を抜きにした文学も批評もありえない。2017/08/22
月をみるもの
5
「文芸批評」という行為が、こういうこじつけ+ペダンティズム以上のものでないなら、この分野の研究者は税金で養うに足らずと判断されるのも仕方ないかも。。2015/07/04
急性人間病
2
大江や中上を特に高評価する典拠として提示される“(父の)反復”が逆に(父殺しに代表される)乗り越えの主題の陳腐化を“完璧な捨子”としてギリギリ回避するという論旨のトリッキーさが光るし、そも「物語」への接近によって「小説」の細部への擁護を試みるトリッキーさがそこには裏打ちされている。一方、導入されたその「物語」なる観念が、必需品-必要悪-“悪しき風俗”という風に並べられそうなその評価軸のなかを激しく往来する厄介さや、定義の恣意性について検討する余地なのか隙なのかを残しており、そこがなんともアンビバレントな…2025/11/28
ミスター
2
やはり面白い批評であるが、しかしながら中上健次を持ち上げる理由が分かりにくく、端的に中上健次は同じ話を繰り返しているといえば良いのに。まあそれを言ったら中上健次批判になってもしまうので、井上ひさしや村上春樹を動員してそこまで持っていった意味がなくなるのだろう2019/01/30




