河出文庫<br> 夏期休暇

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河出文庫
夏期休暇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 201p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309404066
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「きっと、兄はあの帽子を持って来てくれる。」―千波矢が初めて兄の幻影と出逢ったのは、一羽の鳶の比翼が岬の空家の庭から帽子を舞い上げた夏の一日だった。空家に住み始めた少年や仔犬との交流を描く長野ワールド書き下ろし作品。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

100
季節を楽しむ読書、の一冊。夏、少年、記憶…自分好みのテーマが盛り込まれたとても好きな作品だった。どこか淋しさをまとい今にも儚く消え去ってしまいそうな少年たち。なんとなく全体的にモノクロームの世界を感じる。なのに海の碧さ、白い波、木半夏(ぐみ)の実の紅い硝子玉のような輝きが鮮やかに目に浮かぶ。遠い記憶。封印が解かれるかのようにあの夏の記憶が蘇っていく時間。寄せては返す波のように蘇っていくあの時。押し寄せる残酷という名の大波。あぁ、いっそのこと全ての記憶を波がさらってくれたらいいのに…。2019/08/18

ジンジャー(C17H26O4)

88
青と葵。あおいは千波矢に帽子を持ってきてくれただろうか。海は夏の色をもうしていない。透き通るように青く凪いだ空と海の表紙からは想像できない物語だった。海の見せる不吉な表情は、千波矢の心に渦巻く兄、青への憧れと、葵への嫉妬心とリンクしているようにも思えた。穏やかな浜には波がひたひたと寄せ、岩礁ではうねり、逆巻き、立ち上がる。葵のいなくなったことを現実として感じた後の千波矢の、葵が仔犬を千波矢と呼んでいたと知った後の彼の抑えられない期待にぞっとした。けれど、少年少女の苛立ちや嫉妬は煌く海のように美しかった。2020/08/23

mii22.

69
夢と現実とが水のように容易く溶け合ってしまう千波矢の幼い頃の記憶。岬の突端にある空家に残された記憶の欠片はおぼろげだが、あの少年のことだけは、はっきりと覚えている。静謐な微笑を浮かべて佇む千波矢の兄。なのに兄は本当に存在したのか幻影なのか正体が掴めないもどかしさ。突然現れた兄と同じ名を持つ少年との出会いにより過去の扉が開かれようとする。海と岬と秘密の隠れ処。潮風と波と夏薔薇の垣。夏の海辺の空気感が作中に溢れんばかり。昼間の煌めきと夜の漆黒の怖さがこの世界観を際立たせている。2019/07/31

ブルちゃん

41
いつもと少し感じが違うと思ったら、少女が割と絡んでくるからかなあ🤔✨ 千波矢が過去を思い出す場面は、胸が締め付けられたな。 長野さんの本は、夜風に当たりながら読むとピッタリですね😌 思い出すと、切ない波の音が聞こえてくる物語😌。2020/06/21

coco夏ko10角

24
海や植物の描写が美しい。最後はそういうこと、なんですよね…?切ないなぁ。2016/08/16

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