内容説明
旧主が悪家令の陰謀により幽閉された。錦織の執拗なる忠誠心は、大衆を味方にし、後藤新平、星亨らを巻き込んだ大疑獄「相馬事件」へと発展した。明治の忠臣の悲喜劇を描いた表題作ほか、参議広沢真臣の暗殺を捜査する司法省を翻弄する淫婦の物語「天衣無縫」等全六編を収録。風太郎の妖説日本史明治編。
感想・レビュー
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林 一歩
25
維新直後の混乱期を舞台にトチ狂った物語ばかりの短編集。猛烈に風太郎ファンになりました。全集欲しい!!2013/06/20
星落秋風五丈原
20
結局は、苦しみを、蛇のようにするりするりと抜け出ていったおかねの一人勝ち。やっぱりここでも女性は蛇。まあ、あの「稀代の毒婦」でさえ、かなわなかったのだ。おかねの天衣無縫さは筋金入り。こちらの邪推も、警官側の思惑も、ひとたまりもなく跳ね返されても無理はない。実はおかね自体に何らかの存念があり、邪気のない天衣無縫、つまりは何も持たない者が、権力や何やら持っている者達を蹴飛ばしてしまう成り行きは、やっぱり痛快以外のなにものでもない。 だから、私は、笑うしかない。本当は怒る話なのに。 2003/10/08
讃壽鐵朗
2
明治維新前後に実在の人物を登場させて創作した小説で、これほど面白いものは他にあるであろうか。 特に、「首の座」は山田風太郎ならではの作品で最高傑作ではないか。明治維新を真面目に勉強してから、気楽に読むには最適である。2013/11/22
isbm
1
★★★☆2024/02/16
古ロボ
1
山風の真骨頂は明治物に有り!忍法帖よりもイイぞ。2010/07/25