内容説明
『桃尻娘』と並行して書き上げられた、橋本治の批評的散文の原点。『蓮と刀』につながる幻の秘文「ソドムのスーパーマーケット」を中心に、70年代末の風俗、文学、映画、漫画に登場する「性」を掘り下げる。“現代思想”や“フェミニズム”と一見無縁なところで、はるかに深く「性」の深層を正視し、解体し、表現しきった思想の書。
目次
エロへ!『鬼蓄』
僕達の孤独と滅亡―『家族の肖像』『ピンクサロン・好色五人女』
女の自立・男のお尻―『暴る!』『燃える秋』『トルコ110番・悶絶くらげ』
THE WAY WE WERE―追憶のテーマ『天使のはらわた・赤い教室』
平行視線四辺形―『団鬼六・花嫁人形』
芥川に棒ぐ―『赫い髪の女』『限りなく透明に近いブルー』
最も激しい不能石井隆論
くたばれ!!中央公論
股の彼方に―OVER THE OMANCOW
正義について―山田風太郎論
OVERTURE
最も美しい“俺”―PANTAX’S WORLD論
奪われちまった哀しみに―『その後の仁義なき戦い』
ソドムのスーパーマーケット
もっと…光を!!―『スーパーマン』『女教師・秘密』『女教師・汚れた噂』『天使のはらわた・名美』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
18
浅羽通明との対談で本書を知り「ソドムのスーパーマーケット」を読む。「男の快楽の基本は射精です。(略)昔の男が一生懸命したことは、射精する為のアナを探すことでした。アナとは(略)問題は男の子のお尻が何故女のアソコのすぐ次に来るのか?そもそも男の子とは何か?同性愛とは何かということなのです。」部分的なところを抜き出すと多いに誤解を招く文章ですが、若かりし頃の青くささはあるののオモシロイ。さすが橋本治。非モテの品格(つまり二流市民の苦しみ)を読むよりも、男であることの構造が分かります。評論はこうでなくちゃ。2016/12/02
うえ
7
「戦後に"民主主義"という概念が導入されてから…事態は変わりました。”義理人情”は"民主主義"とは相容れない概念だったからです。”義理人情”は排斥されました。”お涙頂戴物”は低俗でよくないものとされました。すべては、"感動"という崇高なものでなければならなかったのです。その宗教的背景を無視して"感動"は定着させられました。確かに今、私達は"感動"することができます―宗教的な感動とは別種の感動を…日本人にとって了解可能だった何かは…"感動を呼び"そして今”心”や”愛”と呼ばれてさえいるのです」2016/09/15
tyfk
6
橋本治が映画について書いてる文章はまったく評価してないけど、この本でロマンポルノを取り上げてて、いったいどんな読者想定してんだかの鬱陶しい文章。その後の文体も嫌いだけど、これはこれでルサンチマンのかたまりのような。『菊と刀』に先行する「ソドムのスーパーマーケット」は、キリスト教についての話がひどすぎて、なんじゃこりゃだわ。射精中心主義、うざい。2024/09/13
shouyi.
5
橋本治さんがこんな骨太の評論を書いているとは思わなかった。いや、評論は何本も書いているし何冊も読んだけど、これほど哲学的な文章は初めて読んだ気がする。 扱うものはロマンポルノ(今や死語)と言われた日本のポルノ映画。エロ雑誌に連載したものとはいえ、決して扇情的な解説ではない。亡くなったしまったのが今でも残念だ。2020/03/17
なんと
0
91/09/042015/12/23