内容説明
藤原鎌足にさかのぼる飛鳥朝以来の名家、五摂家筆頭の公爵近衛家の嫡男として、文麿が生まれたのは明治２４年（１８９１）であった―。富国強尾策を掲げ、躍進と膨張を続ける大日本帝国。一方、文麿は早くに両親を失い、文学や哲学を愛する憂鬱なるインテリ青年として成長する。しかし時代は激動の昭和を迎え、文麿を否応なく政治の中枢に引き入れて行った…。宿命の貴公子の青春を描く第一部。
感想・レビュー
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筑紫の國造
9
小説家杉森久英による、近衛文麿の伝記上巻。一応、「伝記小説」という括りになるのだろうが、ほとんどノンフィクションと言っていいだろう。特に近衛の人間的な面に多くの筆を裂き、幼少期からの人間形成にかなりの焦点を当てている。著者が伝記文学のベテランということもあり、とても面白く描かれている。「五摂家筆頭」の地位にありながら、孤独の影を宿す近衛の実像が、冷静な筆致で描かれている。ただ、あまりにも近衛周囲の人物にスペースを取りすぎて、焦点がぶれている感も否めない。2017/02/17
フンフン
6
古本で買った。「平成３年1月31日読了」と書き込んであった。私はその下に「令和3年5月1日読了」と書き込んだ。2021/05/01
