内容説明
60年代の後半、全共闘運動はなやかなりしころ、世情は騒然とし、著者が親交をあたためていた作家三島由紀夫は、一見その流れに歩調を合わせるかのように死の予行演習をくり返し、自決へと至った。そして70年代が幕を開け、政治の季節は終った。時代に対して超然としながら、なおかつ時代の空気を鋭敏に察知していた著者はこの時期何を考えていたのだろうか? 本書はその思索の跡を示すエッセイ集。
目次
バビロンの架空園―失われし庭を求めて
ユートピアと千年王国の逆説
ヨーロッパのデカダンス
もう一つの世紀末
万博を嫌悪する あるいは「遠人愛」のすすめ
時間の死滅について
ミューゼアム・オブ・カタクリズム
サドは裁かれたのか サド裁判と60年代の精神分析
魔的なものの復活
A.キルヒャーと遊戯機械の発明
幻想文学について
幻想動物学
メタモフォーシス考
からくりの形而上学
ジョルジュ・バタイユ 比喩としての畸形について
妖怪および悪魔について
ヨーロッパの妖怪
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔓下 寝夫
1
『われわれの世界は古代の世界にくらべると非常に小さい』罪悪の治世、罪悪の絶頂、罪悪の栄光、黄金時代。2015/03/18
小林ミノリ
1
主に60年代後半から発表されたもの、社会が大きく動いたその時代、三島由紀夫との交流や、万博に向けて躁状態になる世論に釘を刺す意見など、社会を斜め上から見る視線で綴るエッセイ集。
kera1019
1
難しい言葉が多かったのとテーマにも興味が湧かへんかったので、正直しんどかった… エッセイとしては重かったかな…(~_~;)2013/07/01
小物堂社
1
なぜか澁澤さんが精神分析にハマってる。そしてその分、個人的には、つまらない。 なぜなら、精神分析からの発展が見られないから。 つまりは「これは精神分析で言うとこれこれです」で終わっているということ。 『快楽主義の哲学』を読んだ後なので、ショックも大きい。2012/02/05
Gimmikc
0
最も激しかった時代の総決算。澁澤龍彦の思想の精髄が一冊にまとまったとも言える名著。様々な魅惑的なタイトル・テーマを持つ他著作を差し置いて、まずこの一冊を読むと何十倍となく他著作を理解できること請け合い。2016/02/20