感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
y_e_d
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形勢不利を逆転し黒い夢を成し遂げる寸前で、それを後押ししたものが周囲の誠実な人達の協力であることが身に染み、自分を取り戻していく康子の心の変化は何となく読める感じだったが、やはり面白くてのめり込んでしまう。大げさな表現は一切ないし、誰でもできそうな言い回しなのに、なぜこれだけ深く気持ちを動かされるのか不思議。株買占めの攻防、終盤の山中の格闘、信頼と裏切りに揺れ動く心理描写などどれも秀逸。舞台設定は50年前だけど、古臭さは感じられない。作者の企業小説では№1作品かと思う。2017/10/26