感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
y_e_d
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これも企業小説ですが、人間関係が入り組んでいる。乗っ取り屋に会社を奪われた父親を自殺で失った長女・康子と、その乗っ取り屋の立石と、康子の恋人・矢代を軸に展開。上下巻に分かれる長編だけあって、若き乗っ取り屋vs老獪な巨大勢力というだけの構図ではない。まったく業界違いの研究者である矢代が、なぜか立石と共通する線が出てきて、展開がまったく読めなくなってくる。これだけの話がよく思いついて、組み立てられるものだと思う。心の内面の描写が何と美しいことか。これはドラマ化・映画化されたのも分かる気がする。そして下巻へ。2017/10/25