出版社内容情報
日本の近代作家たちは西洋美術とどんな出会い方をしてきたか。漱石にはじまる55人の文章に誘われる西洋美術案内。オールカラー。
内容説明
作家たちはどんな作品に触発されてきたか―いまだかつてない日本近代文学による西洋美術案内。年代順に五十五人の作家を扱う六十篇の文章と図像によって構成。
目次
夏目漱石のミレー
夏目漱石のダ・ヴィンチ
永井荷風のジュール・ブルトン
上田敏のヴァトー
森〓外のロダン
森〓外のマネエ
北原白秋のホイッスラー
木下杢太郎のモロオ
谷崎潤一郎のラオコオン
谷崎潤一郎のビアヅレエ〔ほか〕
著者等紹介
谷川渥[タニガワアツシ]
美学者。東京大学大学院博士課程修了。文学博士。國學院大學教授、京都精華大学客員教授などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
87
夏目漱石から松本清張まで55名の作家の小説の中に登場した西洋絵画を紹介しています。1900年初めからわずか70年足らずの間に、日本近世文学にいかに西洋絵画の世界が影響を与えたのかがよくわかる。森鴎外「花子」のロダン、「青年」のマネ「ナナ」、安部公房「水中都市」とフラ・アンジェリコ、川端康成「美しさと哀しみと」のセザンヌ、開高健「裸の王様」のハンス・エルニ、太宰治「人間失格」のモジリアニ、石川淳「焼跡のイエス」のヴェロニック、稲垣足穂「少年愛の美学」のビァズレーなど、読んだものも読んでないものも興味深い。2020/12/27
keroppi
79
文豪たちの著作に現れる西洋美術を題材に、作家と美術の両面から語る興味深い本だった。夏目漱石から松本清張まで数多くの作家が登場するが、よく知らない作家もいて、作品を読みたくなってくる。美術作品はカラーで掲載されており、なかなか贅沢な仕立てだ。特に気になったのは、中里介山のジョットー。「大菩薩峠」にこのような絵を語るところがあるとは。夢野久作のベクリン。うーん、夢野久作らしい。松本清張のアルテ・ボヴェラ。「天才画の女」読んでみたい。2021/02/07
ヒデミン@もも
50
こんなに薄くて2000円。と思ったが、なかなか良い。森鴎外の息子類の一生を描いた物語と並行して読んでいたから余計に感慨深い。明治から昭和初期にかけての近代日本ってやはり格差があり、限られた上級社会の人だけに与えられたものがたくさんあったんだなぁ。今の時代に生まれてよかった。ゴッホやモネ、ボッティチェッリの絵を庶民の私でも観ることができるのだもの。松本清張の『天才画の女』に出てくるアルテ•パヴェラってプア•アートが気になる。2021/01/21
風に吹かれて
23
各編が原稿用紙で三枚程度の長さ。その中に作家の紹介や作品の引用、その作品が触れている絵画などの紹介、それが六十篇。110ページの本であるが豊富な情報量。 著者の小説などの紹介が巧みで、その作品を読みたくなる。帯には「日本近代文学による西洋美術案内」とあるが、「西洋美術による日本近代文学案内」と言いたいような本であった。 読んでみたいと思いつつ手つかずの夢野久作、小栗虫太郎、久生十蘭あたり、きっと読もうと思った。 2022/09/19
ふう
11
様々な「文豪たち」の作品に登場する西洋美術を取り上げた一冊。絵から彫刻まできちんとカラーで紹介され、解説もわかりやすくてとても読みやすかった。紹介される作品…小説も美術もどちらも読みたく&観たくなること請け合い。著者の谷川氏、肩書き「美学者」なんだけどこれ初めて聞いたよw2021/02/11