内容説明
セリフなしマンガの大傑作『３秒』など新しいマンガのかたちを探求し続ける著者の最新作。ＡＣＢＤ批評大賞受賞作品。
著者等紹介
マチュー，マルク＝アントワーヌ［マチュー，マルクアントワーヌ］ ［Ｍａｔｈｉｅｕ，Ｍａｒｃ‐Ａｎｔｏｉｎｅ］
１９５９年生まれ。フランス西部、アンジェの美術学校を卒業後、展覧会の設営を専門にするアトリエを立ち上げ、多くの魅力的な展覧会を制作した。ＢＤ作家としてのデビュー作は１９８７年に出版されたＰａｒｉｓ‐Ｍ＾ａｃｏｎで、その卓越したモノクローム表現で注目を浴びる。１９９０年にはＬ’Ｏｒｉｇｉｎｅを発表。１９９１年度の「アングレーム一目惚れ賞」を受賞した。『神様降臨』で、ＡＣＢＤ批評大賞受賞
古永真一［フルナガシンイチ］
１９６７年生まれ。パリ第七大学留学を経て早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。現在、首都大学東京准教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
56
『3秒』が小気味のよいリズムを持っているBDだとしたら、こちらは随所が深読み可能。例えば次の会話で…。「ご自分をどのように定義しますか」「いかなる定義からも外れる存在。私自身の定義も含めて」「うーむ…では違う質問を…。もし、自分が本だとしたらとんな本です？」「砂の本」と来たんだから！2019/10/19
キジネコ
48
神様は自分に似せて人を創った。と旧約の聖書は云っています。人が神々の領域を目指す為に組み上げた超AIに思考させて、被告席の神様に問責する役割を担わせます。AIは簡素に「カミサマ キミハ ナニモノナノダ？」と問います。実態を持たない筈のカミサマが姿を現す、降臨した事から騒動が始まる物語。否定肯定否定、人類の狡猾・矮小・浅慮がカミサマを軸に描かれます。神という概念を必要とした人間の世界の便宜性と宿命的な未成熟を可笑しく理屈っぽく見せ、思索する楽しさを鑑賞者に与えます。彼は神なのか？それとも 唯の…？OMG!!2021/09/14
里馬
3
面白く難しい。神様が現代に降臨して、本物かどうか裁判にかけられる。フランスのコミック。神様の事は無信心者なのでなあんにも知らないけど、それなりに楽しめた。勉強してから再読したい。2013/05/27
∃.狂茶党
2
ワンアイディアで押し切る、ショートショート、小噺的なほら話。キリスト教の素養がなくても面白い。2019/08/02
tegi
1
神様が世界に現れてしまう、というコンセプトはすごく批評的なんだけど、人間や宗教への嘲りはぎりぎりない、と感じた。そこが好き。人間アホだなーとは思わされても、冷笑にはならない。だから、神や人間への愛おしさがわずかながらも醸成されていくんだけど、ゆえに、このラストには寂しさを感じてしまう。ここだけ取り出せばアイロニックだけどアイロニックに思えない。2015/02/05
