内容説明
『ロスト・シング』でオスカーを獲得、『アライバル』で世界中の読者を魅了した作家の想像力の源泉を集めて贈る魅惑のスケッチブック。
著者等紹介
タン,ショーン[タン,ショーン][Tan,Shaun]
1974年オーストラリア生まれ。幼い頃から絵を描くことが得意で、学生時代にはSF雑誌で活躍。西オーストラリア大学では美術と英文学を修める。これまでに発表したいずれの作品も卓越した内容と表現で評価が高く、オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞。作品は世界中で翻訳出版されている。現代を代表する新進気鋭のイラストレーター、絵本作家として活躍する一方、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとして活動の場を拡げている
岸本佐知子[キシモトサチコ]
1960年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
449
ショーン・タンのスケッチ集。まだ存命中の、しかも第1線で活躍中の画家がこんな風に自分のスケッチを公開するのは珍しいのではないだろうか。お蔭で私たちは、ここで躍動する前のモチーフや、これからどのように変容してゆくのか未知の素材に出会うことができる。『ロスト・シング』や『遠い町から来た話』、『アライバル』の元になった絵も散見される。そういうのを見るとなんだか既に懐かしくさえある感情が喚起される。ファンタジーの躍動と静謐とが同居する世界の秘密の一端に触れられる貴重な本。2020/06/08
kanegon69@凍結中
111
実に面白い!ショーン・タンのファンタジックな絵はなんとも想像を掻き立てられる。いったいどうやってこんな不思議な絵を描いているのかと思ったら、突然インスピレーションなど湧いて来ないのだそうです。その代りとにかく描く。描いている間に浮かんでくるのだそうです。意外ですよね。アライバルやエリックなどのラフスケッチもあり、見ているだけで楽しいですね。まだ作品に収録されていない絵もたくさんあって、今後この中から新しいキャラクターが出てくるかもしれないと思うとワクワクしてしまいます。ショーン・タンのファンの方は是非!2019/12/27
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
87
ショーン・タン氏は〈インスピレーション〉という言葉に抵抗があるという。本書はパウル・クレー言うところの「線(ライン)を散歩させた」素描を集めた本。不気味で可愛いキャラクターの習作、傍らに書き込まれたメモ。SF的なモチーフだけでなく、日常風景のスケッチも多い。自然の形と人工物の間との対立関係に心惹かれる作者には、日常のスケッチは何より楽しい作業だそうだ。小さなノートにボールペンで描いた〈落書き〉を繰り返すことで「隠れて見えなかったアイデアが釣糸にかかり、新鮮な驚きを感じる」のだという。2012年8月初版。2015/08/09
sin
84
それは作品の素、まだ語られない物語の入口、初めに伝えたかったものの残滓、または日常の片側であると云う。西洋ではミソサザイを鳥の王と言うらしい、スコットランドの民話では一番高く飛べたものを鳥の王様にするという競技で鷲にしがみついて最後の瞬間にピョンと飛び跳ねてその地位を勝ち取った。日本の昔ばなしにも鷹と競って猪を退治て王と認められたというしグリム童話やアイヌの伝承など意外な程にそう伝えられている。ギリシャの哲学者は弱々しいけどちゃっかり屋で器用だからと形容する。『鳥の王さま』はそれと意図しているのだろうか?2022/05/19
KAZOO
80
ショーン・タンのスケッチブックで主に単色でのものが多くおさめられています。途中でカラフルなものもありますが、よくまあこのような発想が出てくるものだと感じます。そんなに人間世界とかい離しているわけではないのですが不思議な世界だと感じます。2015/05/05