内容説明
どこの西棟(ウエスト・ウイング)なのか?いったい何が描かれているのか?すべてが見る者の想像力にゆだねられてしまうとほうもなく怖い作品。
著者等紹介
ゴーリー,エドワード[ゴーリー,エドワード][Gorey,Edward]
1925年、シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表している。またエドワード・リアやサミュエル・ベケットらの作品の挿画、劇場の舞台美術なども手がけた。幻想的な作風とアナグラムを用いた(Ogdred Wearyなど)ペン・ネームを使い分けてたくさんの私家版を出版したために、多くの熱狂的コレクターを生みだした。2000年4月15日、心臓発作のため死去。享年75歳
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
213
この絵本を読んで、感想が同じになることはないだろう。昼なのか夜なのか、恐らくは夜であるが、深夜なのか明け方なのかさえわからない。気になるのは、ウエスト・ウイングには窓枠があるのに窓のない部屋がいくつかあることである。そこに帰宅したのか侵入したのかわからないロングコートの男。その他数名。人の目には見えない者もいるのかもしれない。奇妙な荷物、梯子、鏡、突然の洪水。恐らく一人の視点ではない。何を描いているのか、その目的はわからない。そもそもここには誰もいないのだろうか。すべてをわかろうとする必要はないのだろう。2023/12/29
KAZOO
152
エドワード・ゴーリーの絵本ですが文章がまるっきりありません。しかも単色の鉛筆での細密画のようです。30枚の絵がありますが、不気味なあるいは不安な感じが増していきます。どこがウエスト・ウイングなのかはわかりません。柴田元幸先生は最後の解説だけ書かれているのですね。2018/09/23
めろんラブ
118
先日読んだ津村記久子『ウエストウイング』と同じタイトルなので、何か関連があるかもと手に取ったのですが、おそらくない・・・というよりそれよりなにより怖いんですけど!心の準備ゼロなんですけど!何なんですか、誰ですか、エドワード・ゴーリーって!・・・すみません、取り乱しました。ブラックで有名な絵本作家さんなのですね。緻密な描き込みには饒舌さがあるのですが、物語としては寡黙。読み手の想像力を喚起する作品と感じました。もう、シニカル&ホラーな魅力(魔力?)の虜です。2015/08/19
AKIKO-WILL
106
ゴーリーの文字がない絵本!前作キャッテゴーリーは、可愛らしかったけど、こちらは不穏な空気がページを捲るたびにヒシヒシと感じます。もしかしたら?あのハシゴは…あのダンボールは…あの小さな生き物は…テルマエロマエみたいな男性は…文字がないだけで色々想像してしまう。あ〜またゴーリーにやられてしまった。2016/07/08
藤月はな(灯れ松明の火)
100
人のいる気配がほとんどしないけど、おかしな調度品や本来、あるべきものがなかったりする屋敷の内部を描いただけの文字のない絵本。だけど、不穏な予感、没落や死の気配、声なき怨嗟や呪詛、居ないはずなのにいる気配がするのはどうしてなのだろう?勿論、それはこの絵本を観ている私の想像でしかないのは分かっている。だけど開いた扉の先に本当に「ナニ」もいないなんて言えるのだろうか?言語化できる恐怖は実は怖くない。本当に怖いのは言語化できない、原始的な恐怖を増幅させる「ナニ」かだ。2015/12/29
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