内容説明
素晴らしきシネフィルたちとの映画に目が眩んだとっておきの会話。
目次
“距り”の“場”に向かって―記号学批判(宮川淳;浅沼圭司)
映画批評の秘かな愉しみ―ユニテの崩壊から観客論へ(鈴木啓二;松浦寿輝)
黒沢明 あるいは旗への偏愛(野上照代;伊丹十三)
映画を演奏する時代―映画的環境をいかに活性化するか(上野昂志;山根貞男)
『陽炎座』への招待(鈴木清順)
特権的映画学講座(伊丹十三)
『乱』と黒沢明をめぐって(A・タッソーネ;M・テシエ)
ただひたすら小津先生の船に乗ってみんなで揺れていたという感じです(伊丹十三;岸恵子)
残酷な視線を獲得するために(村上龍)
バイク事故が『HANA‐BI』の絵になった(北野武)
淀川長治:継承不能な突然変異(金井美恵子)
著者等紹介
蓮実重彦[ハスミシゲヒコ]
1936年東京生まれ。映画評論・表象文化論・フランス文学者。東京大学教養学部教授・学部長を経て、前東京大学総長
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感想・レビュー
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踊る猫
22
蓮實重彦の懐の深さを思い知らされる一冊。松浦寿輝のような知性とも渡り合えるし、伊丹十三とも互角に四つに組み合えるし、金井美恵子と組んで淀川長治やポール・オースターを斬って捨てることも出来るし、北野武や村上龍にダメ出しをすることも出来る。抽象的な論議はついて行けないところがあったので読み飛ばしてしまったのだけれど、具体的に作家論をするあたりが面白いと思われた。映画を愛しているか、映画に愛されているか、言葉は何処まで通じるか……そんな偏愛と嫉妬を垣間見せてくれる、論理的であるようで実は何処までも情熱的な漢の姿2018/10/25
しゅん
10
北野武のインタビューで、「『HANA-BI』は自分でタイトル決めてなくて、『ソナチネ』は『沖縄ピエロ』と呼んでた」という話をしている。1998年の時点で『首』の企画があったのもわかる。村上龍との対談では、「ダンスに入るまでを映さなかったのは「逃げ」です」と蓮實が語る一方、蓮實が春樹を批判すると龍はかわしつつ会話を続ける。この二人との対談がやたら面白い。松浦寿輝・鈴木啓二との鼎談では、「映画だけを観ていてはだめだ、映画を観ていないときの映画的瞬間に目覚めるのが大事」という話をしていて印象深い。2024/09/10
pudonsha
1
最初の鼎談が抽象的で難解だったが、残りの部分は具体的な映画について論じていたので楽しめた。2017/11/09
ra0_0in
1
鈴木清順、黒澤論(A・タッソーネとM・テシエ)、村上龍、北野武らとの対談が面白かった。特に最後の二者との対談だけ読めばいいって感じだろうか。現代思想系の話は、時代を感じさせるというか、今となってはどうでもいような話に思えた。伊丹十三が蓮實重彦をヨイショしまくってるのが痛々しかった。2013/02/20
イワシ
1
ガース柳下こと、柳下毅一郎さんは映画学の授業のしょっぱなからかまされたという衝撃を話されていたけど、ぼくにとってはこれがそうです。てか、現代思想辛すぎ!2012/05/07
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